
初めてのアナログシンセ
「CMU-800」というコンピュータ音源があるらしい
初めて耳にしたとき、Roland CM-500か、YAMAHAのMU-80あたりの何かと間違えてしまっている?のかと思ったのですが、本当にこういう電子楽器音源があったようです。

いわゆるアナログシンセサイザーのようですね。アナログシンセとはなんでしょうか?
アナログシンセとデジタルシンセは、音の作り方が異なる。
アナログシンセは電気回路そのもので音を生み出すため、太く温かみのある音や、わずかな揺らぎを含んだ独特の味わいが特徴である一方、デジタルシンセはコンピュータで音を計算して作るため、音程や動作が安定し、多彩な音色や複雑な表現ができる。
簡単に言えば、アナログは「個性や質感が魅力」、デジタルは「正確さと幅広さが魅力」だ。
つまり...、鳴らす個体や環境などの違いによって出てくる音も変わるということのようです。
壁一面の機械から配線がいっぱいでてるイメージ
CMU-800を入手
ある日、知人から「壊れてるかも知れないんだけど、メンテナンスしてみる?」というありがたいお話をいただきまして、受け取ってきました。

無骨すぎるデザインですね!果たして無事に鳴らすことはできるのでしょうか?

ここからなんだかんだで半年かかりました(笑)
仕様
基本情報
一般的なデジタルシンセのCM-64やSC-55といったMIDI音源と異なるところとしては、「モノラル出力」「MIDI非対応」そして「重い」というところでしょうか。
重厚な筐体に入っているためかなりがっしりしており、PC-8801やPC-9801のような重厚感があります。
| メーカー | AMDEK(Rolandの子会社として1981年に創業) |
| 型番 | Compu Music CMU-800 |
| 発売 | 1982年 |
| 定価 | 65,000円 |
| パート数 | メロディ・ベース・コード(4音)の計6パート |
| リズム | バスドラム・スネア・シンバル・ハイハット(オープンとクローズ)・タムタム(ハイとロー) |
| MIDI対応 | 無 |
| 外形寸法 | 333W x 108H x 193D |
| 重量 | 3kg |
| 電源 | AC100V 12W |
AMEDKは、1983年にローランドDGという会社に社名変更したようです。
1982年はCDの製造が始まった年らしく、まだそんな時代

パート情報
CMU-800は、MT-32やSC-55のように、どのトラックでもいろいろな楽器を自由に鳴らせるのではなく、チャンネルごとの音色(楽器)が固定になっています。
- 1ch メロディー(リード向け)
- 2ch ベース
- 3ch-6ch コード(四つのチャンネルを使って4和音が出せます)
- 7ch (CV/GATE outのみで音源なし)
- 8ch (CV/GATE outのみで音源なし。ただし8chのCV/GATE outのみ。ポルタメントをコントロールできるつまみ有り)
- 9ch リズム(バスドラム、スネア、ロータム、ハイタム、シンバル、オープンハイハット、クローズドハイハットの7音色)
ちょっとリッチなPSG+FM音源(OPN)みたいな感じでしょうか。
どれほどの演奏ができるのか楽しみです。
MIDI変換器(CMU-800 MIDI interface)
ところで、アナログシンセを制御する機器を持っていないので、これだけではCMU-800は使えません。
音が出せない音源なんて
当時はこれで演奏するためは、PC-8801、PC-6001、MZ-80K、MZ-2000、AppleIIに加えてそれぞれを接続する専用コネクター(ハードウェア)が必要と、かなりハードルが高いものだったようです。
(参考)PC-6001用接続ハーネス

さすがにそこまで準備するのは難しい・・・、安心してください、現代は救世主的なアイテムがありました。
beatnic.jp home page MIDI変換ボード。

なんとこれがあればあたかもMIDI音源のようにCMU-800をコントロールできるとのこと。
おかげさまで過去にX68000+STed2でGS音源用に作ったMIDIデータを利用したり、作曲もできそうです。
俄然、やる気がでてきた
電解コンデンサーの交換
お借りした方いわく「おかしな感じに演奏される」ということでしたので、電解コンデンサーの交換に挑戦してみます。
44年前に発売されたものですので、電解コンデンサーが容量抜けしていてもおかしくありません。
分解
カバーをとめているネジをはずすだけで分解は簡単にできました。

つながっているケーブルに注意しながらカバーを開くと、内部はこんな感じです。
電解コンデンサーがかなりたくさんあります。SC-55のようなボタン電池はありません。

MAIN BOARD
ここが一番たくさんコンデンサーがあります。

半田吸い取り線で古いコンデンサーを取り外し、新しいコンデンサーを付けていきます。

| 耐圧 | 容量 | 備考 | |
| C62,C63,C81,C83,C84 | 50V | 1μF | 音楽用 |
| C22,C76,C86 | 50V | 0.47μF | 入手しづらい |
| C82 | 50V | 2.2μF | |
| C4,C5 | 25V | 100μF | |
| C75 | 25V | 4.7μF | 50V品で代用 |
| C8 | 16V | 100μF | |
| C6,C7,C30,C40 | 16V | 10μF |

いつも使っている道具類はこちらです。
POWER SUPPLY BOARD
3端子レギュレーターのネジとナットをはずすと筐体から基板が分離できるので、それからコンデンサー交換を行います。

| 耐圧 | 容量 | 備考 | |
| C3 | 16V | 1000μF | |
| C4,C5 | 25V | 100μF | |
| C1,C2 | 25V | 47μF | |
| C6 | 16V | 47μF |

新しいコンデンサーは40年の技術革新ですっかり小さくなっています。
PANEL BOARD
固定しているネジをとりはずしてフロントパネルから分離します。

先にスライダーなどのボリュームを上に引き抜いてとりはずします。

ネジ止め剤が固着しており硬くて回らず、鉄板をはずすのが大変でした。

グリーススプレーを駆使してなんとか外せました。

同じC102が並んでいるのは初めてみました。

| 耐圧 | 容量 | 備考 | |
| C10,C16 | 25V | 47μF | |
| C9 | 16V | 47μF | |
| C33 | 50V | 10μF | 両極性(BP) |
| C3,C4,C5,C8,C19,C30,C102A,C102B,C102C,C102D,C102E,C102F | 50V | 1μF |
1つだけ両極性のものがあるので気をつけましょう。

スライダー部分のゴミはホコリを少しキレイにしました。
ピカールなどで磨いても良さそうです。
動作テスト
動作手順
- X68000(MIDIボード)とMIDI変換基盤をMIDIケーブルでつなぐ
- X68000の電源をON
- CMU-800の電源をON
- MIDI変換基板の電源をON
- MIDI変換基板上のリセットスイッチを押す
- X68000でMIDI再生
これでうまく再生できました。
手持ちのSC-55用のデータをいくつか鳴らしてみましたが、音源が違うわりにはそこそこ聞けましたので、きちんと調整するとそこそこイケそうです。

外部AUDIO出力はMIXというところからモノラルで出力されるので、ステレオミニに変換するジャックを挿してFUNLOGYのスピーカーに接続しましたがいい感じでした。
300円DAISOスピーカーも良いけどね
まとめ
これからCMU-800を入手する方は少ないかと思いますが、アナログシンセに手軽に触れられるという意味では選択肢の1つにはなりそうです。
近々、作曲ソフト(シーケンサー)で、CMU-800向けのMIDIデータを作成してみたいと思います。

参考リンク
CMU-800 仕様紹介にはじまり、電解コンデンサー以外にも詳しい修理項目情報あり
日本初の本格的DTM機材、AMDEK CMU-800 | DTMステーション 歴史的経緯などについても詳説あり
AMDEK CMU-800 ― コンピュータで音楽を作る時代の夜明け|Koya Matsuo こちらも当時の貴重な考察などあり