
レトロパソコンを購入して市販ゲームで遊ぶのは比較的、簡単です。
でも、せっかくなら...ゲーム以外にもいろいろな楽しんでみたい!

むしろ市販ゲーム以外こそX68000の真骨頂?
でも、それにはX68000を起動するためのオペレーディングシステム(以下OS)が必要です。
そもそもOSとは、「Windows」や「MacOS」「Linux」、スマホでは「iOS」や「Android」などがそれにあたり、今どきのパソコンやスマホには最初からついてきます。
しかし、レトロパソコンの本体だけを入手した場合、ほとんどOSはついていないため、別途、どこからか調達する必要があります。
市販ゲーム以外の楽しみ方
例えば、X68000にはゲーム以外に多様なフリーソフトや音楽データなど、今でも楽しめるたくさんの資産があります(ありました)。
DoGACGAシステム
高額なCGアニメーション作成ソフトが多い中、フリーソフト(カンパウェア)として名を馳せたX68000用のツール(群)です。

第1回全日本X68000芸術祭(1991年)のオープニングムービーもDoGAで制作されたそうです。
高性能音楽プレーヤー mmdsp
MDXやZ-MUSIC、RCPなど、X68000用の音楽データを再生するのに大変重宝します。これと音楽用ドライバがあれば大抵ことたります。

MIDIデータシーケンサー STed2
MIDIデータを聞くだけでなく自分でも作れちゃうスグレモノです。PC-9801用ソフト(レコンポーザー)のフォーマットを直接読み書きできる点もポイント高いです。
ゲームミュージックのCD付属の楽譜を打ち込んだり、耳コピーしたりしてました。

STed2 - RC-System 関連 - サウンド - ソフトウェアライブラリ - X68000 LIBRARY
超連射68k
言わずとしれたX68000用同人シューティングゲームの最高峰です。

最近はX68000Zにも付属して大変話題となりました。
その他の同人ゲーム
BM68 EOS

SFXVI

SFXVI - ニコニコMUGENwiki - atwiki(アットウィキ)
SFXVI 【2D対戦格闘ゲーム】 【2D FIGHTING GAME】
SUPER STAR SHOOTER

SUPER X-DAY X

アーケードゲームからインスパイアされたゲームやオリジナルのゲームなど色々ありました。
Human68kをセットアップする
X68000用のOSといえば
それでは、これらの数々のX68000資産を活かすためにX68000用のOS、「Human68k」をセットアップしていきます。
X68000用のOSは「Human68k」以外にもOS-9や、NetBSDやMINIXなどのUNIX系OSなどもいくつかありますが、今回は割愛します。

※ちなみにNetBSD for X68kは、今でも開発されているようです。
Human68kのどのバージョンは使えば良い?
Human68kはVer1.0からVer3.02まで存在しており、基本的に上位互換ですので、Ver3.02を持っていればOKです。
同時期のPC9801で言うところの「MS-DOS 3.30D」みたいな位置づけでしょう。安定した普及バージョンといったところです。

※画像内のHUMAN.SYSというのがHuman68kシステムです。
Human68kが起動できるフロッピーディスクの入手方法
ゲーム以外からX68000を起動するには、基本的には唯一ブート可能な標準デバイスのフロッピーディスクドライブからブートします。
(USBからとか、CD-ROMからとか、そういうのは当然ないです。ハードディスクやMOドライブがついていればそこから起動はできます。)
そのため、まずはHuman68kの入ったフロッピーディスク(システムディスク)を用意します。
それでは、そもそもHuman68kの入ったフロッピーディスクをどうやって用意したら良いのでしょう?
1.オークションなどで入手する

予算が許すのであれば、一番てっとり早い方法です。
おおよそ、5,000円~10,000円くらいで取引されていることが多いようです。
ただし、フロッピーディスク自体もかなり古くなっているため、カビていたり傷がついていて読めなかったりするというリスクがあります。
2.公開サイトから入手して、自力でFDを作成する
実は、Human68k自体は無償配布されています。
Human68k version 3.02 のシステムディスク
X68kエミュレーター向けに利用する場合は、このイメージデータを使えばよいのですが、今回のような実機のX68000から起動させたい場合は「そもそもこのイメージデータをX68000にどうやって持っていくか?」という点が問題となります。
すでに、SASIやSCSIのHDDからHuman68kが起動しており、MOドライブなどを持っていればWindowsなどからファイルをX68000へ持っていけますが、その前段階ですのでまさに「缶詰の中に缶切りがある、的な状態」です。
3.外付けの5インチFDDをWindowsPCに接続して書き込む
2000年頃の自作PC全盛期な時代であればこういう方法もあったかもしれませんが、そもそも外付けの5インチフロッピードライブは入手性も悪く、入手できてもどうやってWindowsマシンなどに接続するのかなどハードルが高い方法です。
将来、USB接続の5インチFDDが発売されたら1つの選択肢になるかもしれません。

※(参考)X68000純正の外付け5インチFDD
4.5インチFDD付きのPC-9801などを利用する
すでにX68000の他にレトロPCを所有している時点でとても初心者向けではないですが、場合によってはこれまでのどの方法よりもてっとり早いかもしれません。


この方法が取れる時点でこのブログの説明不要説ある
5.X(旧twitter)などで現役68オーナーに代理で作成いただく
いわゆる「5インチ生フロッピーディスク」をオークションなどで入手して、Human68kを入れてもらうという手段もあるかもしれません。
もし希望者がいらっしゃいましたら、個人的に可能な範囲で対応いたします。
6.MMCじょい君を利用する
なんとX68000のジョイスティックポートからデータを読み込めるハードウェアが同人ハードとして発売されています。

これだけでは使えず、利用するX68000に専用のデバイスドライバを組み込む必要があります。
システムとデバイスドライバの入ったFDが別売りされています。
X68000用「MMCじょい君」ドライバーフロッピーディスク - TNB製作所`s SHOP - BOOTH
このFDがあればシステムディスクはもう作らなくていいのでは、、、という点は気にせずということで。
X68000用Joystickポート接続マルチメディアカードリーダライタ 「MMCじょい君」【期間限定ケース付】 | 同人ハード(キット),TNB製作所 | | 家電のケンちゃん(@kadenken)
Human68kが起動するフロッピーディスクを作成してみる
それでは、あくまで1参考例として2.の方法をベースに実際にHuman68kのシステムディスクを作成してみます。
すでにフロッピーディスクなりハードディスクなりからHuman68kのシステムが起動しているX68000があるという前提です。
ブランク5インチFDを用意
いわゆる「生」フロッピーディスクを用意します。
オークションでは1枚あたり数10円~100円程度で取引されているようです。
Amazonなどで買うととんでもない価格になっていたりするので注意しましょう。

写真右の一番小さい3.5インチサイズのフロッピーディスクが多く出回っていますが、こちらはX68000compact/X68030compact用になります。
ほとんどのX68000(タワー型や横型)では、写真中央の5インチサイズの「2HD」のものを用意します(PC8801用などの2Dや2DDではないので注意しましょう)

写真左の8インチサイズとは間違えないよな
初期化(フォーマット)する
次にディスクイメージを書き込むのですが、念のため先に初期化します(ちなみに、フロッピーに傷があるなど何か問題があるとここでエラーが出ます)
format.x
というコマンドで起動します。

フロッピーディスク1枚あたり30秒くらいで完了します。よく大量にフォーマットやディスクコピーをしたときは随分と時間がかかりました。
Human68kのディスクイメージをフロッピーディスクにリストアする
ダウンロードしてきたイメージファイルをフロッピーディスクに書き戻していきます。
2HDSIM.x こちらのツールを使うと、フロッピーからディスクイメージを作成したりフロッピーに書き戻したりできます。
(当然ですが、プロテクトのかかっていないものに限りますので、ゲームのフロッピーディスクとかでは使えません)

mkimg.x -r フロッピーディスクドライブ番号 ディスクイメージファイル名
こんな感じで実行すると、Human68k 3.02のシステムディスクが出来上がります。
作成したフロッピーディスクのテスト
完成したフロッピーディスクをX68000を正面に見て左側のドライブ0に入れて起動してみましょう。
キーボードの「OPT.1」キーを押しながら起動すると強制的にFDDから起動するのでうまく行かない時はお試しください。
配布されているディスクイメージにはOPMDRV3.Xが収録されていないのですが、CONFIG.SYSにはそのまま指定が残っているらしく、登録しようとしてできないと出ます。

フロッピーディスクから起動できたら次は、ぜひハードディスクからの起動にも挑戦してみましょう。
選択肢としてはSASI接続、もしくはSCSI接続のハードディスクなのですが、入手性が悪い上に寿命を迎えている可能性もあるため、これからであれば変換番長やRaSCSIのようなデバイスが用意できると良さそうです。
ハードディスク相当のデバイスを接続できたら、再びformatコマンドを起動するとハードディスクが表示されるので、システム転送ありでハードディスクをフォーマットします。(ここで容量が指定できるので、最初は1000MBを超えない997MBなどが無難です)。
フォーマットができたらすかさず、COPYALLコマンドで、起動したFDに入っているファイルを全てフォーマットしたハードディスクへコピーします。
COPYALL *.* C: (ハードディスクがCドライブの場合)
そして、switchコマンドでSCSI(HDD0)から起動できる設定にすることで、ハードディスクからシステムが起動します。
応用編として、1GB以上の領域を確保した場合には、GOVERHD.xというソフトを使うことでそのドライブが利用可能になります。
まとめ

現役時代はなぜかマクセルのフロッピーディスクを一番好んで使っていました。

ほかにはTDKや3M、富士フィルムのをよく使ったなあ