せっかくのX68000。ゲームだけじゃもったいない
とにかくゲームで遊ぶだけであれば、フロッピーディスクドライブにゲームソフトを突っ込むだけで(※カビてなければ)目的は達成できます。
でも、X68000にはゲーム以外にもたくさんのフリーソフトや音楽データなど、色々と面白い資産がたくさんあります(ありました)。
※こちらはX68000用音楽データフォーマット"MDX"の再生用プレイヤーの1つ「MMDSP」
※こちらはMIDIデータシーケンサー「STed2」レコンポーザのデータ編集が可能
※1999年に制作された同人音楽ゲームの1つ「BM68EOS」自作の曲で遊ぶこともできる
しかし、それらを活かすには、どうすればよいのでしょうか?
そのためには、現代でいうところのWindows10やMacOS Xにあたる「オペレーティングシステム」が必要になります。
X68000のOSといえばなんですか?
X68000用のOSで一番メジャーなものは、「Human68k」と呼ばれるオペレーティングシステムです。多くのゲームもこのシステム上で動いています。
他にもOS-9や、NetBSDやMINIXなどのUNIX系OSなどもありましたが、ここではHuman68kについて取り扱いたいと思います。
※ちなみにNetBSD for X68kは、今でも開発されているようです。
Human68kのバージョンは何を使えば良い?
Human68kはVer1.0からVer3.02まで存在しており、基本的に上位互換ですので、3.02を持っていればOKです。
同時期のPC9801で言うところの「MS-DOS 3.30D」みたいな位置づけでしょうか。安定した普及バージョンといったところです。
※HUMAN.SYSというのがHuman68kシステムです。
Human68kが起動できるフロッピーはどうやって入手できますか?
まずは、ゲーム以外で、Human68kシステムからX68000を起動するには、基本は標準でついているブート可能デバイスのフロッピーディスクドライブからブートします。
(USBからとか、CD-ROMからとか、当然ないです)
そのためには、FDDからブードできるHuman68kの入ったフロッピーディスクを用意しないといけません。
もしも用意できたら、フロッピーディスクから起動してそのまま使うのもよいのですが、いかんせん、令和の時代にFDのアクセスやデータ転送の速度の遅さに驚愕すると思います(悪い意味で)。
そこで、SASI/SCSI接続のデバイス(恐らくHDかMO、もしくは変換番長のような変換機)が用意できたら、FDに入っている「format.x」でシステム転送ありでフォーマットします。(ここで容量が指定できるのですが、最初は1000MBを超えない997MBなどが無難です)。
フォーマットができたらすかさず、COPYALLコマンドで、FDに入っているファイルを全てフォーマットしたドライブへコピーします。
A:\>COPYALL *.* C:
そして、「switch.x」でSCSI(HDD0)から起動できる設定にすることで、初めてFD以外から起動できるようになります。
応用編として、1GB以上の領域を確保した場合には、GOVERHD.xというソフトを使うことでそのドライブが利用可能になります。
※1993年の夏に、生まれてはじめて100MBのSCSI-HDDを購入したときは、こんな手順で導入しました。1GBなんて広大過ぎた時代です。
それでは、そもそもHuman68kの入ったフロッピーをどうやって用意したら良いのでしょう?
1.オークションなどで入手
やはり予算が許すのであれば、一番簡単な方法です。
しかし、タイミングよく欲しいシステムディスクが出品されているとは限りませんし、カビが生えてて読めないとか動作保証無しだったりもするので、運次第です(いきなり運って・・・)。大体、1万円いかないくらいで入手できそうです。
2.公開サイトから入手して、自力でFDを作成する
実は、Human68kは無償配布されています。素晴らしいですね。
Human68k version 3.02 のシステムディスク
X68kエミュレーターで利用する場合は、ここのイメージ版を使えばそれを指定して目的達成なのですが、実機の場合は「そもそもデータをX68000にどうやって持っていくか?」というところが問題となります。
恐らく、SASI/SCSIデバイス経由でのファイル移動になるのですが、X68000に持っていこうとしても、そのデバイスを持っていなかったり、それを扱う設定がそもそもできないので、ハマります。
缶詰の中に缶切りがある、的な・・・。どないせいっちゅうねん。
3.今どきのPCに5インチFDDを接続して書き込む
2000年頃の自作PC全盛期な時代であれば、こういう方法もあったのですが、そもそも5インチフロッピードライブも入手しづらく、入手できてもどうやってWindowsマシンなどに接続するのか?相当ハードルが高い方法です(これはこれで、1つ実験テーマになるかもしれませんね・・・)
今後もレトロPCが流行るのであれば、SCSI外付けの拡張FDDが出たら、売れるかもしれませんね(X68kで使えて2万円以内くらいであれば買っちゃうかも?)
※(参考)X68000純正の外付け5インチFDD
4.5インチFDD付きのPC-9801などを利用する
別のレトロPCを利用している時点で、とても初心者向けではないです。コレができる方は、もはやここでの説明が不要と思います(ここでニヤニヤしたアナタはアウトです)
5.twitterで現役68オーナーと仲良くなってむにゃむにゃする
オークションで5インチFD1枚100円~で入手できるとして、Human68kを入れて上げて、郵送してあげるサービスとか、ありかもしれませんね。
実費のみでの配布なら2次配布してもOKかしらね。少数の希望者なら対応してみたいです。
実際に、Human68k 3.02が起動するフロッピーディスクを作成してみる
それでは、根本的解決にはならないものの、参考用に、2.の方法をベースに実際にHuman68kのシステムディスクを作成してみます。
ブランク5インチFDを用意
いわゆる「生」フロッピーディスクを1枚用意します。
(2021年1月現在)オークションでは、一番小さい3.5インチのFD(右)が多く出回っていますが、こちらはX68000compact/X68030compact用になります。
ほとんどの68(タワー型や横型)では、写真中央の5インチサイズで、かつ容量は「2HD」のものを用意します(2Dや2DDのものではだめですので、ワープロ用などは注意)
ちなみに、間違っても左の8インチを入手しないようにしましょう(まず、間違えないと思いますが)
初期化(フォーマット)する
ディスクイメージを書き込むのでフォーマットは不要かもしれませんが、念のため初期化します(フロッピーに傷があるなど何か問題があるとここでエラーが出ます)
大体1枚30秒くらいでしょうか。大量にフォーマットやディスクコピーするときはかかる時間が馬鹿になりませんでした。
Human68kのディスクイメージをMKIMG.xでフロッピーディスクにリストアする
2HDSIM.x :配布されているこちらのツールで、フロッピーからディスクイメージを作成したりフロッピーに書き戻したりできます。
(当然ですが、プロテクトのかかっていないものに限りますので、ゲームのフロッピーディスクとかには使えません)
MKIMG.x -R フロッピーディスクドライブ番号 ディスクイメージファイル名
こんな感じで実行すると、Human68k 3.02のシステムディスクが出来上がります。
完成
完成したら左のドライブ0に入れて起動してみましょう。
キーボードの「OPT.1」キーを押しながら起動すると強制的にFDDから起動するのでうまく行かない時はお試しください。
配布されているディスクイメージにはOPMDRV3.Xが収録されていないのですが、CONFIG.SYSがそのままらしく、登録しようとしてできないとでますね。
まずはこれをベースに、自分の使いやすいオリジナルなシステムを作っていくことになります。
しかし、0からのシステム構築をしていくのは流石にハードルが高すぎるので、現実的にはある程度システムが構築された、SASI/SCSIでブートするシステムを経験者に用意してもらうというのが、これから68ライフをスターするのに一番近道かもしれません。
おまけ
せっかくなので、ラベルを作って、ライトプロテクトシールも貼っておくことにします。
ちなみにこれは私の現役時代のフロッピーディスクですが、なぜだか圧倒的にマクセルを選んで使っていました。
次にTDK、そして3M、富士フィルムという感じでしょうか。なにもかもが懐かしい。