
PC CLUB(PC286C)とはどんなレトロパソコン?
巷にPC-AT互換機(DOS/Vマシン)が普及する前、パソコンと言えばNECの「PC-9801」、そんな時代もありました。
そんな1990年頃に、なんだか可愛らしいパソコンを見つけました。

「ぴーしーくらぶ」

これはカワイイ....
PC-6001やPC8001、MSXのようなキーボード一体型のパソコンです。NECのPC-9801とほぼ互換性があり、たくさんの資産が活かせるようです。
しかもFM音源に、3.5インチFDDが2基搭載。CPUパワーこそ非力ですがゲームを始め、簡単なことなら大体できる、そんなパソコンでした。

アーティスのLINDBERG(リンドバーグ)が広告に使われていました。

昔は、芸能人やアーティストがよくCMしてたわ
主なスペック
CPU | 80286-10MHz (ノーウェイト) [6MHz切替可] | |
RAM | 標準 | 640KB |
最大 | 2.6MB | |
フロッピーディスク | 3.5インチ x 2基内蔵 (1MB/640KB両用タイプ) | |
ハードディスク | なし | |
外部拡張スロット | 1スロット (Cバス互換) | |
サウンド機能 | FM音源3和音、SSG3和音 (スピーカー内蔵、LINE OUT端子付) | |
外形寸法 | 446(W) x 298(D) x 85(H) mm | |
重量 | 約5.0kg | |
発売年月 | 1990年9月 | |
定価 | 168,000円 |
当時はX68000にゾッコンLOVEだった私はPC9801は注目していなかったのですが、なぜかこのPC CLUBは記憶に残っており一度触ってみたいと思っていました。
今回はいつものヤフークションではなく、知人から「動作しないPC CLUBを2台」安価で譲っていただきましたので、修理にトライしてみます。

ちなみに受け取った秋葉原からハンドキャリーで持ち運びましたが、1台あたり5kgありかなり運ぶのが大変でした。

やはり電源とFDDユニットが重い
筐体の分解方法
それでは早速分解していきます。
有名なレトロパソコンのおかげか分解動画もYoutubeにいくつか上がっているようです。
本体カバーの取り外し

キーボードの右上と左上のキャップをはずすと出てくる穴から見える長いネジを2箇所ともドライバーではずします。
本体カバーはツメではめ込まれているだけのようです。背面の底部の方を少しずつ押し込むとツメが外れていくので慎重にはずしていきます。
と、文字で書くと簡単そうですがここが結構難しいです。かなり古いパソコンなのでカバーの樹脂が劣化していて外してる途中でツメが欠けることも(あきらめましょう)
キーボードの取り外し

キーボードの裏側につながっているフラットケーブルx2を白いコネクタ部分を上にずらしてから引き抜きます。
無理やり引っ張らないようにしましょう。
FDDの取り外し
3.5インチFDDにつながっている白いフラットケーブルは挿さっているだけなので、慎重に引き抜きます。
ドライブの左にあるレバーを下に押し下げながら左へずらすとはずれます。
シールドの取り外し

スピーカーのコードがつながっているコネクタをはずして、黒いボタンのようなところを3箇所引っ張ってロックをはずし、中央上にある長いネジをはずすと、シールドがはずれます。

CPUの上にヒートシンクのような鉄板がネジ止めされているのを外します。
CPUはソケットタイプではなく直付けなので486に交換とかは難しそうですね。

オーバードライブしている猛者もいそう
電源とメインボードの取り外し

メインボード部分は、端子と筐体を固定しているネジと、基板と筐体を固定しているネジと、それぞれ外します。

拡張スロットのところに1つ隠れているネジがあります。
電源部分はトランスの上下2箇所のネジをはずしてずらします。コンセント部分とファンは固定されていません。

すべてのネジがはずれるとメインボードをずらすことができるようになり取り出せます。
電解コンデンサー交換
メインボードの電解コンデンサー交換

メインボード用電解コンデンサー(16個)
耐圧 | 容量 | 個数(備考) | |
C153 | 16V | 100μF | 1(低背) |
C154,C160 | 16V | 10μF | 2 |
C148 | 16V | 47μF | 1 |
C162,C163 | 50V | 1μF | 2(小型) |
C164 | 50V | 1μF | 1 |
C155,C156,C158 | 16V | 22μF | 3 |
C149,C159 | 35V | 4.7μF | 2 |
C151,C152 | 35V | 47μF | 2 |
C150 | 10V | 220μF | 1 |
C157 | 16V | 220μF | 1 |
電源の電解コンデンサー交換

電源基板用電解コンデンサー(9個)
耐圧 | 容量 | 個数(備考) | |
C2,C3 | 16V | 4700μF | 2 |
C4,C5 | 25V | 2200μF | 2 |
C6,C7 | 16V | 10μF | 2 |
C10 | 16V | 33μF | 1 |
C7 | 16V | 10μF | 1 |
C8 | 50V | 1μF | 1 |

電源ファンの交換
電源をいれるとファンが爆音だったので、新品に交換することにします。
40mm x 40mm x 10mmのサイズで12VのDCファンのようです。
コネクタの形状が微妙に大きくてそのままでは刺さらないので、根本からはずして交換します。

せまくてはんだ付けが難しいですがなんとかできました。プラス(赤)とマイナス(黒)が基板に左右逆につながっているので注意しましょう。

そこまで静音ではありませんが、2個で700円とお安かったのでこんなものでしょうか。
メンテナンスに使用した工具一覧
バッテリーの除去
このPC CLUBではすでに除去されていましたが、バッテリー(電池)はなくても駆動するので、液漏れが不安なのではずしてしまうのが良いでしょう。

動作テスト
まずはメインボードと電源とRGBケーブルだけつないで電源スイッチをONにしてみました。
モニター出力は当然HDMIとかではなく、ピンが2列のアナログRGB(D-SUB15ピン)ですので要注意です。
ピンが3列のRGBケーブルがある場合は変換コネクタ経由で接続できます。
モニターの方もPC9801標準の水平周波数が24KHzが映る必要があります。

なんとなくうまく動いているようです。
次に、シールドとFDDとスピーカーを戻して、適当なフロッピーを入れて起動してみました。

フロッピーディスクを読みに行っているようなので、ラッキーなことにドライブの故障の可能性は低そうです。
駿河屋で動作テスト用のゲームを購入
起動テストに使えそうなソフトを持っていなかったので、できるだけ予算をかけずに調達することにしました。
この条件で探したところ、駿河屋さんでちょうど良さそうなのを見つけました。
パワードール2(工画堂スタジオ)

工画堂スタジオ PC-9801 3.5インチソフト パワードール2[3.5インチ版]

さっそく、プレイしてみましょう。

どちらかのフロッピーディスクドライブが故障しているかもしれないので、2ドライブチェックします。

無事に読み込んで起動しました。ですが、、、マウスがないとここから進めないようです。
よく調べないで買うのはダメですね。。。というわけでもう1本注文してみます。

マウス買おうとしたらそれも高かった
英雄伝説III(日本ファルコム)

日本ファルコム PC-9801 3.5インチソフト 英雄伝説III もうひとつの英雄たちの物語~白き魔女~[3.5インチ版]
ちょっと予算オーバーしてしまいましたが、PC88で「英雄伝説I」「英雄伝説II」とプレイしていたのでちょっと気になっていました。

今度はどうでしょうか。

ハードディスクへのインストール前提でしょうか。めちゃくちゃフロッピーディスクの枚数が多いです。

起動してみます。

ドライブ1に「プログラムディスク」、ドライブ2に「オープニングディスク」。その後、ドライブ2に「シナリオディスク1」を入れていきます。

おっと、、、トラブル発生でしょうか。

慌てずにリセットボタンで再起動したところ無事に起動して、FM音源のBGMも再生されました。
スピーカーの破損により音が出ない場合は、「7.7cm 4Ω 2W以上」のスピーカーを調達して交換すると良いようです。

ひとまず今回の修理はここまでとします。
今後、電源ファンの静音化や、キーボードや本体のレトロブライトも挑戦してみようとおもいます。

レトロブライトやるなら夏かな
PC CLUBの入手方法
いつものヤフーオークションでウォッチしていると、1ヶ月のうちに1、2台は見かけます。
だいたい、ジャンクで程度が良くないと5,000円くらい~、付属品などが揃っていたり美品だと50,000円くらいで落札されることもあるようです。

キートップがなくなっていたりカバーが割れていないもので、10,000円以下であればレトロPC趣味としては狙い目(リーズナブル)と思います。

弾数が多かったのか、まだ手を出しやすい価格帯
まとめ
気が向いたらMIDIボードを入手してMIDIデータの再生や、SCSIボードを入手してRaSCSIの動作などにもトライしてみたいと思います。