PC8801FAのAは「Audio」のA!(サウンドボードIIの夢を叶えるため)
【目次】
PC8801mkIISRの興奮も冷めやらぬまま
何はなくてもキーボードはほしい
先日、入手したPC8801mkIISR。しかし、本体だけなので、キーボードがありません・・・(といいつつ後日入手)
以前から、「88は本体よりキーボードが高い」という恐ろしい噂も聞いていましたが・・・。弾数が少ないのでしょうね。
そんな中、いつかは「PC8801FH+サウンドボードIIでミスティブルーを聞きたい」と思っていた最中に、またもやヤフオクである出品が目に止まりました。
PC8801FAという選択肢
「お・・・FAがキーボード付きで30k円か。。。」
元々PC8801FHオーナーだったので、次に買うならFHかな、と思っていたのですが、せっかくなら今度はサウンドボードIIが欲しいなと思い。
純正はかなり高騰しているわけですが、そういえば、先日、BEEPで見かけたFH用の同人サウンドボードIIが27k円くらいしたんですよね。
【完成品】サウンドボード2互換ボード For PC-8801FH/MH
完成品ではなくて自分で作るキットなら12,800円らしいのですが、販売される雰囲気もなく(組み立て手間賃15k円ってのも中々な・・・)
仮にそのキットがあったとしても・・・、ヤフオクの相場から
・FH本体が10,000円
・キーボードが8,000円
・サウンドボードII互換キット13,000円
で、3万円超えとかになるかと思うと、「もしかして、このFAセットは安いのでは?」と思い、あまり深く考えずに入札。
落札してもうた・・・・。
なぜか誰も競り合ってこなかった・・・、やや、割高だったのだろうか。。
まあ、これも運命の出会いと思いあきらめて(?)、はりきってメンテをすることに。
※FH/MHは昭和62年(1986年)、FA/MAは昭和63年(1987年)発売
メンテナンスメニュー
今回の手当メニューは
- いつものコンデンサー交換
- 充電池取り外し
- メモリ増設(←NEW)
- FDD清掃
こんな感じでしょうか。
今回は、手元の岩崎先生の修理マニュアルは、FH/MH版なので、それとネット上のFA/MAの情報を参考に進めていきます。
本体の分解
すでにPC8801mkIISRの分解をしていたので、そこまでは難しくなかったです。
ネジが4,5種類あるので、そこだけ記憶しておくと良いです。
・天板(カバー)
・バックパネル
・電源ユニット
・FDDx2
・拡張スロット(ライザーカード)
・メインボード上のシールド(フタ)
・音源出力ユニット
・メインボード
・フロントカバー
の順序で取り外していきます。
電源ユニットのコンデンサー交換
手始めに最初にはずせた電源から処置していきます。
電解コンデンサーは14個。種類が微妙に違うのがたくさんあってややこしいですが、特に難しいところはありません。
コンデンサーを外したらフラックスクリーナーで基板をキレイにしてから水洗いしてよく乾燥させます。
耐圧 | 容量 | 備考 |
180V | 560μF | C605 ⇒200V 560μFのスナップインで代替 |
63V | 22μF | C612 |
25V | 100μF | C609 |
25V | 470μF | C613 |
50V | 10μF | C660 |
50V | 0.47μF | C661 |
10V | 1000μF | C653 |
25V | 2200μF | C654,C655 |
16V | 4700μF | C651,C652 |
25V | 220μF | C658 |
25V | 47μF | C656,C659 |
取り付け完了。フタがちょっと閉めづらい(爪の位置がわかりにくい)ので、開ける前の状態を覚えておくと良いです。
技術の進歩で驚きの小型化がなされています(写真はC605)
電源ファンの交換
SRの電源ファンがあまりにうるさかったのでFAの電源もうるさいのかと思い交換しようかと思ったのですが。
どうも、コネクタのオス・メスが逆で移植するのが面倒なのと、試しに電源を入れたところ、思っていたほどファンはうるさくなさそうなので、無水エタノールでキレイにしてそのまま使うことに。
交換しないんかーい。ところで、ヨドバシカメラはたまに送料込みでお安いパーツがあるので要チェックです。
メインボードのコンデンサー交換
SRやFHと違って、めちゃくちゃたくさんコンデンサーがついてます。サウンドが強化されている所以ですね。ここが一番時間がかかりました。
全部で35個あります。
耐圧 | 容量 | 個数 | |
C129,C80,C65,C68,C70,C123,C120,C118,C41,C43 | 25V | 22μF | 10 |
C53,C3,C15 | 16V | 220μF | 3 |
C61,C63 | 25V | 220μF | 2 |
C4,C18,C19,C31 | 16V | 10μF | 4 |
C132,C8,C9 | 16V | 47μF | 3 |
C90 | 50V | 10μF | 1 |
C1,C28 | 25V | 100μF | 2 |
C12,C13,C29,C30,C47 | 50V | 1μF | 5 |
C11,C14,C33,C49 | 50V | 4.7μF | 4 |
C42 | 50V | 3.3μF | 1 |
電解液が漏れているコンデンサーは基板にくっついていてはずしにくいので要注意です。コンデンサーをはずしたあとにスルーホールに残ったハンダが中々取れなくて大変ですが、焦らずに吸い取り線で基板両面から除去していきます。
基板が大きいのでオモテウラをいったりきたりで、ひっくり返しながら作業するのが大変でした。
バッテリーの除去
百害あって一利なしのバッテリーはサクッとはずします。
ネジが腐食しかかっていましたが、基板はセーフでした。
メインボードのメモリ増設
今回、新たにこちらのメニューに挑戦。
現役当時は搭載メモリ容量なんて全然気にしていなかったのですが、どうやらFAをMA相当のメモリ容量に改造できるそうです。
FHを持っていたときは、「MHとの違いなんて、2HDが使えるくらいでしょ」くらいにしか思っていたらメモリやら漢字ROMやら違いがあるらしく。
というわけで、メモリ増設方法を教わったのでトライしてみることに。
分けていただいたDRAM。4つで128kbytes。「D41464V-12 8851K5017 NEC JAPAN」と書かれています。
ここのIC24~IC27と、左側のC55とC56に、コンデンサーを取り付けます。
穴をふさいでいるハンダを丁寧に除去してチップを取り付けます。
コンデンサーは、こちらの「104K」と書かれたものを取り付けました。耐圧は書かれていませんが恐らく50Vだろう、とのこと。
最後に、拡張メモリをONにするために、このR79に0Ωの抵抗をつけるそうなのですが、手持ちに無かったのでジャンパーによるショートでいってみます(無保証)
音声出力ボードのコンデンサー交換
1つだけ電解コンデンサーが使われていたのでサクッと交換しました。裏面は金具(ステー)をはずしてハンダクラック予防に再ハンダしました。
耐圧 | 容量 | |
C1 | 50V | 1μF |
FDDのコンデンサー交換とグリスアップ
TEACのFDDは頑丈なので不調になったらコンデンサー交換したいと思います。
(どこのコンデンサーかメモし忘れてしまいました)
耐圧 | 容量 | |
10V | 22μF | |
25V | 33μF | |
10V | 100μF | |
50V | 22μF | |
50V | 6.8μF x2 |
拡張ボードスロットのコンデンサー交換
いわゆるライザーカードです。25Vの22μFがなかったので、50Vの22μFで代用しました。
耐圧 | 容量 | |
C1 | 25V | 22μF |
ケースの洗浄
フロントパネル
スピーカーが固着していてはずれない場合があるようです。
どうしても取れない場合は、破壊してしまう可能性があるためあきらめるのが得策のようです。
マジックリン+激落ちくん、もといメラミンスポンジでさらっと洗浄しました。
それにしてもどうして電源とリセットスイッチはこんな陽気なパステルカラーにしたんですかねえ。日本語化と同じで、ユーザフレンドリーなイメージにしたかったのでしょうか。
FDDパネル
こちらはイジェクトレバーは刺さってるだけなので、テコの原理でずらして引き抜くとパネルがはずれます。
中の駆動部をグリスアップしようとしてフタをあけたら、なんか金属のパーツがはずれてしまいました。。。
焦ったのですが、電磁シールド用らしい鉄板が両面テープ?のようなものでくっつけてあるだけのようで、付いて無いところで問題なさそうということで、外しっぱなしにしてフタを戻しました。それにしても弱々しい実装ですね・・・。
天板
こちらも、マジックリンとメラミンスポンジで。十分きれいになりました。
キーボードのメンテナンス
動作に問題はなさそうでしたが、せっかくなのでメンテすることに。
分解
裏面のネジを6つ外すだけです。かなり重厚な作りになっています。コンデンサーが2つ見えます。
コンデンサーの交換
両極型コンデンサーが2つのようです。ちょっと調達が面倒でしょうか。
耐圧 | 容量 | |
大 | 10V | 47μF(BP) 85度品(16Vで代替)横向きに取り付け |
小 | 16V | 10μF(BP) 85度品 |
背面の鉄板みたいなのがテープで止まっているので剥がしても良いのですが、隙間にコテを突っ込んで交換してしまうことにしました。
キートップの取り外し
キートップは引っ張ると取れるのですが、そこで問題発生!
KINESISキーボード用の工具でいけるだろうと甘く見ていたらキーの中の軸が折れてしまいました(涙)
ちゃんとしたこういう工具で真上に引き抜く必要があったようです。
キーボードを傷つけない!キートップ引き抜き工具はワイヤータイプがオススメ – DEN-NO PLANT
早速注文しました。
折れてしまったキートップは仕方ないのでこういう接着剤でくっつけるのが良いらしいくこれも注文(ただし二度と外せなくなる)
良い子は決して真似しないでください。
とりあえずくっつけてみました。しばらく使ってみて、取れないかのテストをしてみます。
カバーとカールコードの清掃
本体同様に、マジックリン+メラミンスポンジでささっとキレイにしました。
基板の清掃
キーがはずせたらエアダスターでホコリを飛ばして、エタノールで軽くお掃除しました。
キートップを戻して完成です。
動作テスト
あらかじめ入手してあった「ハイドライド3」で動作テストしてみます。
おお~、一発で増設メモリを認識しました!
そして、英雄伝説もバッチリです!
標準搭載メモリテスト
ROM BASICから、「mon」⇒「tm」で、標準メモリのテストができるようです(拡張したメモリはテストできないらしい・・・)
次回予告
次は、FDX68とFDS+で、市販ゲームバックアップとイメージから起動できるFDDエミュレーション環境構築にトライします。
いつかミスティーブルーを鳴らしてみたいです!
参考リンク
PC-8801 FA のコンデンサ ここを参考にしてコンデンサを揃えました
PC-8801FAのリペアとメモリ増設 | Framのレトロハードメンテナンス記録
5inch.floppy.jp/PC88_SB2LIST.TXT 意外とたくさんあるサウンドボードII対応ソフト