PC8801FAのAは「Audio」のA!(サウンドボードIIの夢を叶えるため)

2024/02/06

PC8801mkIISRの興奮も冷めやらぬまま

何はなくてもキーボードはほしい

先日、入手したPC8801mkIISR。しかし、本体だけなので、キーボードがありません・・・(といいつつ後日入手)

とうとう88にも手を出しちゃった!?往年の名機「PC8801mkIISR」との再会

以前から、「88は本体よりキーボードが高い」という恐ろしい噂も聞いていましたが・・・。弾数が少ないのでしょうね。

そんな中、いつかは「PC8801FH+サウンドボードIIでミスティブルーを聞きたい」と思っていた最中に、またもやヤフオクである出品が目に止まりました。

PC8801FAという選択肢

「お・・・FAがキーボード付きで30k円か。。。」

元々PC8801FHオーナーだったので、次に買うならFHかな、と思っていたのですが、せっかくなら今度はサウンドボードIIが欲しいなと思い。

純正はかなり高騰しているわけですが、そういえば、先日、BEEPで見かけたFH用の同人サウンドボードIIが27k円くらいしたんですよね。

【完成品】サウンドボード2互換ボード For PC-8801FH/MH

完成品ではなくて自分で作るキットなら12,800円らしいのですが、販売される雰囲気もなく(組み立て手間賃15k円ってのも中々な・・・)

仮にそのキットがあったとしても・・・、ヤフオクの相場から

・FH本体が10,000円
・キーボードが8,000円
・サウンドボードII互換キット13,000円

で、3万円超えとかになるかと思うと、「もしかして、このFAセットは安いのでは?」と思い、あまり深く考えずに入札

落札してもうた・・・・。

なぜか誰も競り合ってこなかった・・・、やや、割高だったのだろうか。。

まあ、これも運命の出会いと思いあきらめて(?)、はりきってメンテをすることに。

※FH/MHは昭和62年(1986年)、FA/MAは昭和63年(1987年)発売

メンテナンスメニュー

今回の手当メニューは

  • いつものコンデンサー交換
  • 充電池取り外し
  • メモリ増設(←NEW)
  • FDD清掃

こんな感じでしょうか。

今回は、手元の岩崎先生の修理マニュアルは、FH/MH版なので、それとネット上のFA/MAの情報を参考に進めていきます。

本体の分解

すでにPC8801mkIISRの分解をしていたので、そこまでは難しくなかったです。

ネジが4,5種類あるので、そこだけ記憶しておくと良いです。

・天板(カバー)
・バックパネル
・電源ユニット
・FDDx2
・拡張スロット(ライザーカード)
・メインボード上のシールド(フタ)
・音源出力ユニット
・メインボード
・フロントカバー

の順序で取り外していきます。

電源ユニットのコンデンサー交換

手始めに最初にはずせた電源から処置していきます。

電解コンデンサーは14個。種類が微妙に違うのがたくさんあってややこしいですが、特に難しいところはありません。

コンデンサーを外したらフラックスクリーナーで基板をキレイにしてから水洗いしてよく乾燥させます。

耐圧 容量 備考
180V 560μF C605 ⇒200V 560μFのスナップインで代替
63V 22μF C612
25V 100μF C609
25V 470μF C613
50V 10μF C660
50V 0.47μF C661
10V 1000μF C653
25V 2200μF C654,C655
16V 4700μF C651,C652
25V 220μF C658
25V 47μF C656,C659

取り付け完了。フタがちょっと閉めづらい(爪の位置がわかりにくい)ので、開ける前の状態を覚えておくと良いです。

技術の進歩で驚きの小型化がなされています(写真はC605)

電源ファンの交換

SRの電源ファンがあまりにうるさかったのでFAの電源もうるさいのかと思い交換しようかと思ったのですが。

どうも、コネクタのオス・メスが逆で移植するのが面倒なのと、試しに電源を入れたところ、思っていたほどファンはうるさくなさそうなので、無水エタノールでキレイにしてそのまま使うことに。

交換しないんかーい。ところで、ヨドバシカメラはたまに送料込みでお安いパーツがあるので要チェックです。

メインボードのコンデンサー交換

SRやFHと違って、めちゃくちゃたくさんコンデンサーがついてます。サウンドが強化されている所以ですね。ここが一番時間がかかりました。

全部で35個あります。

耐圧 容量 個数
C129,C80,C65,C68,C70,C123,C120,C118,C41,C43 25V 22μF 10
C53,C3,C15 16V 220μF 3
C61,C63 25V 220μF 2
C4,C18,C19,C31 16V 10μF 4
C132,C8,C9 16V 47μF 3
C90 50V 10μF 1
C1,C28 25V 100μF 2
C12,C13,C29,C30,C47 50V 1μF 5
C11,C14,C33,C49 50V 4.7μF 4
C42 50V 3.3μF 1

電解液が漏れているコンデンサーは基板にくっついていてはずしにくいので要注意です。コンデンサーをはずしたあとにスルーホールに残ったハンダが中々取れなくて大変ですが、焦らずに吸い取り線で基板両面から除去していきます。

基板が大きいのでオモテウラをいったりきたりで、ひっくり返しながら作業するのが大変でした。

バッテリーの除去

百害あって一利なしのバッテリーはサクッとはずします。

ネジが腐食しかかっていましたが、基板はセーフでした。

メインボードのメモリ増設

今回、新たにこちらのメニューに挑戦。

現役当時は搭載メモリ容量なんて全然気にしていなかったのですが、どうやらFAをMA相当のメモリ容量に改造できるそうです。

FHを持っていたときは、「MHとの違いなんて、2HDが使えるくらいでしょ」くらいにしか思っていたらメモリやら漢字ROMやら違いがあるらしく。

というわけで、メモリ増設方法を教わったのでトライしてみることに。

分けていただいたDRAM。4つで128kbytes。「D41464V-12 8851K5017 NEC JAPAN」と書かれています。

ここのIC24~IC27と、左側のC55C56に、コンデンサーを取り付けます。

穴をふさいでいるハンダを丁寧に除去してチップを取り付けます。

コンデンサーは、こちらの「104K」と書かれたものを取り付けました。耐圧は書かれていませんが恐らく50Vだろう、とのこと。

最後に、拡張メモリをONにするために、このR79に0Ωの抵抗をつけるそうなのですが、手持ちに無かったのでジャンパーによるショートでいってみます(無保証)

音声出力ボードのコンデンサー交換

1つだけ電解コンデンサーが使われていたのでサクッと交換しました。裏面は金具(ステー)をはずしてハンダクラック予防に再ハンダしました。

耐圧 容量
C1 50V 1μF

FDDのコンデンサー交換とグリスアップ

TEACのFDDは頑丈なので不調になったらコンデンサー交換したいと思います。

(どこのコンデンサーかメモし忘れてしまいました)

耐圧 容量
10V 22μF
25V 33μF
10V 100μF
50V 22μF
50V 6.8μF x2

拡張ボードスロットのコンデンサー交換

いわゆるライザーカードです。25Vの22μFがなかったので、50Vの22μFで代用しました。

耐圧 容量
C1 25V 22μF

ケースの洗浄

フロントパネル

スピーカーが固着していてはずれない場合があるようです。
どうしても取れない場合は、破壊してしまう可能性があるためあきらめるのが得策のようです。

マジックリン+激落ちくん、もといメラミンスポンジでさらっと洗浄しました。

それにしてもどうして電源とリセットスイッチはこんな陽気なパステルカラーにしたんですかねえ。日本語化と同じで、ユーザフレンドリーなイメージにしたかったのでしょうか。

FDDパネル

こちらはイジェクトレバーは刺さってるだけなので、テコの原理でずらして引き抜くとパネルがはずれます。

中の駆動部をグリスアップしようとしてフタをあけたら、なんか金属のパーツがはずれてしまいました。。。

焦ったのですが、電磁シールド用らしい鉄板が両面テープ?のようなものでくっつけてあるだけのようで、付いて無いところで問題なさそうということで、外しっぱなしにしてフタを戻しました。それにしても弱々しい実装ですね・・・。

天板

こちらも、マジックリンとメラミンスポンジで。十分きれいになりました。

キーボードのメンテナンス

動作に問題はなさそうでしたが、せっかくなのでメンテすることに。

分解

裏面のネジを6つ外すだけです。かなり重厚な作りになっています。コンデンサーが2つ見えます。

コンデンサーの交換

両極型コンデンサーが2つのようです。ちょっと調達が面倒でしょうか。

耐圧 容量
10V 47μF(BP) 85度品(16Vで代替)横向きに取り付け
16V 10μF(BP) 85度品

背面の鉄板みたいなのがテープで止まっているので剥がしても良いのですが、隙間にコテを突っ込んで交換してしまうことにしました。

キートップの取り外し

キートップは引っ張ると取れるのですが、そこで問題発生!

KINESISキーボード用の工具でいけるだろうと甘く見ていたらキーの中の軸が折れてしまいました(涙)

ちゃんとしたこういう工具で真上に引き抜く必要があったようです。

 

ARCHISS キートップ引き抜き工具 Ergo Grip Keycap Remover エルゴ グリップキーキャップリムーバー ステンレスワイヤー採用 AS-KREGP01

折れてしまったキートップは仕方ないのでこういう接着剤でくっつけるのが良いらしいくこれも注文(ただし二度と外せなくなる)

セメダイン 超多用途接着剤スーパーX2 クリア P20ml AX-067

良い子は決して真似しないでください。

とりあえずくっつけてみました。しばらく使ってみて、取れないかのテストをしてみます。

カバーとカールコードの清掃

本体同様に、マジックリン+メラミンスポンジでささっとキレイにしました。

基板の清掃

キーがはずせたらエアダスターでホコリを飛ばして、エタノールで軽くお掃除しました。

キートップを戻して完成です。

動作テスト

あらかじめ入手してあった「ハイドライド3」で動作テストしてみます。

おお~、一発で増設メモリを認識しました!

そして、英雄伝説もバッチリです!

標準搭載メモリテスト

ROM BASICから、「mon」⇒「tm」で、標準メモリのテストができるようです(拡張したメモリはテストできないらしい・・・)

次回予告

次は、FDX68とFDS+で、市販ゲームバックアップとイメージから起動できるFDDエミュレーション環境構築にトライします。

いつかミスティーブルーを鳴らしてみたいです!

参考リンク

PC-8801 FA のコンデンサ ここを参考にしてコンデンサを揃えました

PC-8801FAのリペアとメモリ増設 | Framのレトロハードメンテナンス記録

FAの分解

PC-8801FA|コンデンサー交換(前編)

5inch.floppy.jp/PC88_SB2LIST.TXT 意外とたくさんあるサウンドボードII対応ソフト