当時のDTM最高峰の「ミュージ郎」付属のMIDI音源。Roland CM-64
RolandのCM-64というMIDI音源が同梱されたDTMを始めるためのパッケージ商品「ミュージ郎」は1989年発売とのこと。
こちらはNECのPC9801用の商品でした。
私が初めて買ったMIDI音源が1993年のSC-55mkIIだったので、いわゆるMT-32系のLA音源には馴染みがありませんでした。
迫力のあるGS音源のSC-55系とはまた違い、LA音源は柔らかい感じの音という印象です。
先輩がPC9801ユーザでミュージ郎を見せてもらったのが最初でした。
今回お安く、BEEP夜店のジャンクで12,000円くらいでゲットできました。オークションでも20,000円~30,000円で取引されていますが、入手性はそこそこ高いようです。
#ところでミュージくんという商品名は「ミュージック」から来てるのはまだわかるのですが、ミュージ郎は少々強引なネーミングな気がします(笑)
CM-64の機能と構成
この頃、RolandはいくつかのMIDI音源を発売しており、CM-64はLA音源のMT-32(CM-32L)と、PCM音源のCM-32Pの2つの機能が合体した音源という感じです。
- MT-32 1987年発売
- ミュージくん 1988年発売
- ミュージ郎 1989年発売
- CM-64/CM-32P/CM-32L 1989年発売
- CM-32LN/CM-500 1991年発売
また、CM-64とCM-32Pは、正面のスロットに別売りのPCMカードを挿すことでPCM音源を追加することができます。
ドラムセットカードとかギターカードを利用したゲームミュージックなどがありましたが、スロットが1つしか無いので拡張できるのは1枚のみで曲ごとに差し替えが必要など、PCMカードの普及は限定的でした。
もっとPCMカード対応して欲しかった...
電解コンデンサーの準備
それではネットの情報なども参考にしながらメンテナンスしていきましょう。
CM-64にはSC-55のようなボタン電池は入っていないようですので、メンテナンスとしては電解コンデンサーの全交換になります。
ボリュームを回すとガリガリいうケースがあるようなのですが、重症でなければグリグリ回し続けていると良くなります。
SC-55と比べるとGND側のコンデンサーの足のハンダが溶けにくいのでコンデンサーが外しづらく少し難しいです。
また極性なし(両極性)のいわゆるバイポーラー(BP)トランジスタも使われているところも要注意です。
コンデンサーリスト(CM-64)
耐圧 | 容量 | 個数 | |
C3,C6,C42,C43,C85(横に倒す必要あり) | 16V | 1000μF | 5 |
C7,C21,C27,C91 | 16V | 100μF | 4 |
C10,C17(横に倒す必要あり),C45,C46,C84 | 16V | 47μF | 5 |
C61,C63,C70,C73 | 16V | 10μF(BP) | 4 |
C8 | 16V | 10μF | 1 |
C86,C87 | 50V | 1μF | 2 |
C72,C73,C80,C83 | 1000μF | 16V | 4 |
C48 | 100μF | 16V | 1 |
C19A,C25A,C29A,C32,C43,C46 | 10μF | 16V | 6 |
C50A,C50B,C58A,C58B | 10μF(BP) | 16V | 4 |
C74,C75,C77A,C77B | 47μF | 16V | 4 |
C59A,C59B | 47μF(BP) | 16V | 2 |
今回、根幹用に用意した電解コンデンサーはいつもの日本ケミコンKMGと、先日、大量に購入したルビコンMH-7(200個入り)
そして、新たに両極性のものは、このときはなぜかキラキラした音楽用のMUSE ESというモデルをチョイスしましたが、普通の両極性のもので良いと思います。
コンデンサーリスト(CM-32L)
おまけにCM-32Lのコンデンサーリストも載せておきます。電解コンデンサー数は全23個。こちらもBP(両極性)コンデンサーが多くて要注意です。
C3,C6,C85 | 1000μF | 16V | 3 | |
C42,C43 | 1000μF | 16V | 2 | 音楽用 |
C7,C21,C27,C91 | 100μF | 16V | 4 | |
C10,C17,C45,C46,C84 | 47μF | 16V | 5 | |
C56,C57 | 47μF(BP) | 16V | 2 | 両極性 |
C8 | 10μF | 16V | 1 | |
C61,C63,C69,C72 | 10μF(BP) | 16V | 4 | 両極性 |
C86,C87 | 1μF | 50V | 2 |
分解と基板の取り出し
裏面のネジをはずしていきます。本体を洗浄、漂白する場合はゴム足はベトベトになるのではずしてしまいましょう。
鉄板に覆われているので、ネジを外していきます。
PCMカードスロットのパーツも汚れていたのでエタノールでお掃除しました。
つながっているケーブル類に注意しつつ、カパッと持ち上げます。
写真左の黒い3端子レギュレータや、動作LED、ボリュームスイッチなどを丁寧にはずしていきます。
コネクター抜きが有ると作業がやりやすいところもあります。
電解コンデンサーの除去と基板の洗浄
1つずつ丁寧にコンデンサーをはずしていきます。外した時についていたところの番号とコンデンサーの容量と電圧をメモしておくのがオススメです。
できるだけハンダを除去して穴がキレイにあくようにしたいですが、どうしても貫通しない場合はなんとか片方の穴だけでも貫通するようにしています。
最後は残ったフラックスをフラックスクリーナーでキレイにします。
基板の汚れがひどい場合にはスプレータイプのものを利用します。
今回のCM-64はちょっと汚れが気になったので思い切ってフラックスクリーナーを吹きかけて歯ブラシでゴシゴシやりました。
茶色の液体が流れてくるので、やはり古い基板ということで汚れが溜まっているようでした。
さらに中性洗剤で洗って水洗い。
乾燥させることが大切なので今回はお風呂場の浴室乾燥を利用しました。
電解コンデンサーの取り付け
取り付ける穴がキレイに開いていたら難しいところはありません。
極性のあるなしに注意するのとLA音源基板の方に、横倒しにつけるコンデンサーが2つあったので、そこだけ注意しましょう(1枚目の左上と、2枚目の右上)
このコンデンサーを横倒しにしなで普通に取り付けるとフタがしまりません。
LA音源部
PCM音源部
筐体の洗浄(漂白)
以前、CM-500をブライトニングしたら白くなりすぎましたが、懲りずにチャレンジしてみます。
今回は噂のマジックリンを使ってみました。
表面上はキレイになりましたが日焼けで変色してるところが白くなりません。ちょっとした傷はメラミンスポンジでなでるとスベスベになりました。
というわけで、今回期待の星、「酸素系漂白剤」を試してみます。
必要な分量がよくわからないので適当に入れてみます。
お湯を入れるとシュワシュワしてきました。
浮かんでこないように水を入れたビニール袋を載せておきます。
直射日光で白くなりすぎることを恐れて、今回は玄関の隅っこにおいて様子を見ます。
2日くらいでは全然変わらなかったので、漂白剤とマジックリンを追加してみましたが、さらに3週間経っても変化なさそうです。いちかばちか屋外でトライしてみます。
冬の日陰だったせいか、さらに1ヶ月位放置しましたがそこまで白くなりませんでした。
ただ、陽の光に当てておくだけでも多少白くなったので、むしろ漂白剤につけるよりも紫外線にあてるのがよいのかもしれません。
白くしすぎないようにご注意
動作(再生)テスト
いつものダイソースピーカーで音を出してみましたが、問題ないようです。
ちなみにACアダプターが入手できない場合でも、センターマイナスのDC9Vであれば動作するため、CM-64専用のものでなくても、同じくRolandのSC-55用やファミコン用のACアダプター、もしくはUSB変換のケーブルがあれば利用できるでしょう。
USB変換ケーブルは場所もとりませんし、1本持っておくと便利です。
電源関係の扱いは自己責任で!
X68000 CM-64対応ゲーム ジェミニウイング
たまたま落札したゲームがCM-64対応で、PCMカードにも対応していたので試運転、ならぬ試演奏してみました。
ゲームの立ち上げ方によって使用するMIDI音源が変わるようです(マニュアルがないと絶対わからないやつ)。
なんと、ギターカードだけでなく、ロックドラムカードにも対応しており珍しいです。
キーを押しながら起動するとこんな画面がでてきます。ロックドラムカードは持ってないので欲しいです。
ジェミニウイング(システムサコム)の他にX68000用のゲームでCM-64対応しているのは
- 闇の血族、闇の血族完結編(システムサコム)
- 38万キロの虚空(システムサコム) ※通信販売版のみ
- ソル・フィース(ウルフチーム)
- FZ戦記 アクシス(ウルフチーム)
- OVER TAKE(ZOOM)
- ロードス島戦記II~五色の魔竜~(ハミングバード)
- スターラスター(電波新聞社)
- 超人(fix / ブラザー工業)
- Ryu(哭きの竜より)(ウルフチーム)
- ムーンクリスタル(オレンジハウス)
など、数は多くなかったようです。
MT-32対応に比べると少なかったかな