ミュージ郎同梱のMIDI音源「RolandのCM-64」をメンテナンスする(CM-300)

2022/03/09

当時のDTM最高峰のミュージ郎といえばこの音源。CM-64

RolandのCM-64。ミュージ郎は1989年発売とのこと。PC98版のみだったのでしょうか。

自分はSC55mkIIが初めて買ったMIDI音源(1993年)だったので、いわゆるMT-32系のLA音源は馴染みがあまりありませんでした。

知人や先輩が、PC98ユーザでミュージ郎を買ってそこで見せてもらったのが最初でしたね。

以前にも2度ほど買っては手放すを繰り返していたのですが、改めて、今回、またまた買い戻しました(BEEP夜店のジャンクで12,000円くらいでした)

最近もそこそこ見かけるので、入手はまだできそうでしょうか。

#そもそも、ミュージくんは、ミュージックから来てるのでわかるのですが、ミュージ郎は、強引な気がします(苦笑)

内部構成

詳細は割愛しますが、CM-64はLA音源のCM-32Lと、PCM音源のCM-32Pの2つの機能が合体した音源という感じです。

迫力のあるGS音源のSC-55系とはまた違い、柔らかい感じの音という印象です。

また、追加のPCMカードを正面のスロットに挿すことでPCM音源を追加することができます。

ドラムセットとか、ギターとか。ただし、スロットが1つしか無いので拡張できるのは1枚のみ。ここが複数スロットあったらもう少し流行ったのかしら?

メンテナンス開始

基本的にコンデンサーを交換していきます。

SC55のようになボタン電池は入っていないようです。

スイッチ類も、ボリューム故障がたまにあるようなのですが、今回はそこは大丈夫なようなので、そのままにしておきます。

コンデンサー交換

CM-32LやCM-32P、それぞれの基板に対しての交換に対して、CM-64は、その2つ分がまとめて入ってるので大変さも2倍です。

そして、SC-55と比べるとGND側のコンデンサーの足のハンダが溶けにくいのではずしづらく、取れても残ったハンダが取れにくい、と、少し難しかったです。

さらに、極性ありだけでなく、極性なし(両極性)のいわゆるバイポーラー(BP)トランジスタも使われているところも要注意です。

(最初気づかずに、極性ありで用意してしまい、後から慌てて秋葉原で追加購入しました)

コンデンサーリスト(CM-64)

LA音源部 21個

耐圧 容量 個数
C3,C6,C42,C43,C85(横に倒す必要あり) 16V 1000μF 5
C7,C21,C27,C91 16V 100μF 4
C10,C17(横に倒す必要あり),C45,C46,C84 16V 47μF 5
C61,C63,C70,C73 16V 10μF(BP) 4
C8 16V 10μF 1
C86,C87 50V 1μF 2

PCM音源部 21個

C72,C73,C80,C83 1000μF 16V 4
C48 100μF 16V 1
C19A,C25A,C29A,C32,C43,C46 10μF 16V 6
C50A,C50B,C58A,C58B 10μF(BP) 16V 4
C74,C75,C77A,C77B 47μF 16V 4
C59A,C59B 47μF(BP) 16V 2

キラキラコンデンサー(MUSE ES)

今回、用意したのはいつもの日本ケミコンKMGと、先日、大量に購入したルビコンMH-7(200個入り)

そして、新たに両極性のものは、MUSE ESというモデルをチョイスしました。

キラキラしていて少しテンション上がります(笑)

コンデンサーリスト(CM-300)

CM-300も入手したので記録しておきます。全23個。BP(両極性)コンデンサーの調達がちょっと面倒でした。

C3,C4,C22,C23 1000μF 16V 4
C11,C13,C28 100μF 6.3V 3
C37,C39,C41,C42 47μF(BP) 16V 4
C16,C36,C68L,C68R 10μF(BP) 16V 4
C17,C18,C27,C32,C47,C48,C63,C68 100μF 16V 8

分解

裏面のネジをはずしていきます。

鉄板に覆われているので、ネジを外していきます。

PCMカードスロットのパーツも汚れていたのでエタノールで簡単にお掃除します。

つながっているケーブル類に注意しつつ、カパッと持ち上げます。

3端子レギュレータのところや、動作LED、ボリュームスイッチなどをはずしていきます。

コネクター抜きが有ると楽ですね。

CM-300

CM-64よりも当然スカスカしてます。

コンデンサーの除去

ただただ、無心になってコンデンサーをはずしていきます。

できるだけ、ハンダを除去して穴がきれいにあくようにしたいところですが、最低、片方が貫通していればどうにかなるので、フラックスクリーナーを綿棒につけてフキフキしておきます。

基板のフラックス洗浄

コンデンサーを外したら、基板をきれいにしていきます。

SC-55のときは、やらなかったのですが、今回のCM-64はちょっと汚れが気になったのでフラックスクリーナーを吹きかけて、歯ブラシでゴシゴシやりました。

茶色の液体が流れてくるので、まあ、汚れてるんだなあ、と。

さらに、中性洗剤で洗って水洗い。ここでマジックリンしたらよかったのか。。無水エタノールもあるので、どこでどれを使うのが良いか、まだつかめてません。

とりあえず、お風呂場の浴室乾燥を利用しました。

コンデンサーの取り付け

取り付ける穴がきれいに開いていたらそこまで難しいところはありません。

極性に注意するのとLA音源基板の方に、横倒しにつけるコンデンサーが2つあったので、そこだけ注意しましょう(1枚目の左上と、2枚目の右上)

横倒しにしないとフタがしまりません。

LA音源部

PCM音源部

CM-300

BPコンデンサが要注意ですね。

筐体の漂白

今回も懲りずに、ヤケて黄ばんだ筐体のブライトニングにチャレンジしてみます。

マジックリン

噂のマジックリンに挑戦。CM-500のときの反省から、あらかじめ底面のゴム足は外しておきます。

うーん、日焼けしてるところは落ちませんね。ここで、ちょっとした傷はメラミンスポンジでなでるようにしてすべすべにしてみました。

酵素系漂白剤

今回期待の星です。どれほどのものか、その威力、見せてもらおうか!

よくわからないので適当に入れてみます。

お湯を入れるとシュワシュワしてきました。

浮かんでこないように水を入れたビニール袋を載せておきます。玄関の隅っこにおいて様子を見ます(日光だと強すぎるかもしれないため)

2日くらいじゃ全然だったので、漂白剤とマジックリンを追加してみました。これでさらに2週間くらい様子を見ます。

3週間後

室内でおいておいたのですがあまり白くなりませんでした。いちかばちか屋外でトライします。

思いの外時間がかかっているので、後日、結果を追記しようと思います。

結局

さらに1ヶ月位放置しましたが、そこまで白くならず。冬の日陰じゃだめなようです。

ただ、陽の光に当てておくだけでも多少白くなったので、今回はこれで満足することに。漂白剤につけなくても紫外線だけで十分かも?

動作テスト

元々鳴ってはいたのですが、修理して鳴らなくなることもアリ得るのでドキドキしますが、無事に再生できました。

CM-500もあるので、これまた2枚基板と思われるので、いつかメンテしつつ、残りの「CM-32L」「CM-32P」「CM-300」まで手を出すかどうか考え中です。

おまけ(CM-64対応ゲーム「X68000版ジェミニウイング」)

たまたま落札したゲームがCM-64、さらにはPCMカードに対応していたので試運転、ならぬ試演奏してみました。

なぜシステムサコムはこのゲームを移植しようと思ったのか。謎は深まるばかり。

なんと、ギターカードだけでなく、ロックドラムカードにも対応。

キーを押しながら起動するとこんな画面がでて萌える。ロックドラムカードは持ってないのでほしい。

無事に再生されてめでたしめでたし。

※CM-300のメンテも追記しました。

(参考)GS音源のメンテナンスはこちら

Roland SC-55/SC-155/SC-55mkII/SC-88ST/SC-88VL/SC-88STPRO/SC-7/SC-55K/SC-55STをこれからも使えるようにメンテナンス(コンデンサー交換、タクトスイッチ交換、ボタン電池交換)

参考にしたリンク

CM-64の電解コンデンサ交換 – いろいろメモ

ミュージ郎 – Wikipedia

CM-300の電解コンデンサ交換 – いろいろメモ