MIDI音源

【GS音源の最高峰】Roland SC-88Proをメンテナンスする

この記事のポイント

  • どうして「SC-88Pro」がGS音源の最高峰なのか
  • SC-88Proはどうやってメンテナンスするか
  • これからSC-88シリーズを買うならどれがオススメか

1990年代にRolandからたくさんの「GS音源」が発売されましたが、1つの完成形と呼ばれた音源として「SC-88Pro」があります。

「SC-55」に始まったコンピューター用MIDI音源ブームの最高峰として位置づけられており、プロの音楽家も利用していたようです。

これと似たものに「SC-88」「SC-88VL」などがありますので、簡単に違いを説明しておきます。

発売年主な性能定価
SC-551991年発売パート数16 最大同時発音数24 音色数31769,000円(税別)
SC-881994年発売パート数32 最大同時発音数64 音色数654 ドラムセット24(2つのSFXセットを含む) 音色マップ:2(SC-55、SC-88)エフェクト リバーブ(8種類) コーラス(8種類) ディレイ(10種類)89,800円(税別)
SC-88VL1995年発売SC-88の廉価版でボタンや電源以外の音源としてのスペックは一緒69,000円(税別)
SC-88ST1995年発売SC-88VLからさらに液晶画面を省略したもの。スペックは一緒59,800円(税別)
※ミュージ郎88STに同梱
SC-88Pro1996年発売SC-88をさらに強化。音色数1117 ドラムセット42 音色マップ:3(SC-55/SC-88/SC88Pro)89,800円(税別)
SC-88ST Pro1997年発売SC-88Proの液晶画面省略版。スペックは一緒69,800円(税別)
※ミュージ郎88Proに同梱
えくしび
えくしび

同じようなのがたくさんあって違いがわからない

他にこちらはSC-88ProにキーボードがついたSK-88Proというモデルもありました。

いまから手に入れるのであれば、そこまで中古相場の値段も変わらないのであれば、互換性の高いSC-88ProSC-88ST Proが良いでしょう。

ヤフーオークションでは、SC-88Proで10,000円~15,000円くらいで取引されているようです。

また、「SC-88VL」「SC-88ST」「SC-88ST Pro」はACアダプターが別途必要なので注意しましょう。

ローランドデスクトップミュージックDTM総合カタログ

レトロPC時代の音源のため、USB接続には対応していないので、Windowsマシンなどで利用する際には、このようなMIDI<ー>変換ケーブルがオススメです。

それではメンテナンスするために分解していきます。

分解と言っても一般的な「+」ドライバーでネジをはずすのと、コネクターをはずすのみです。

外側のカバーを外します。

上にかぶさっているサブ基板をコネクタに気をつけながら持ち上げます。

コネクタを注意深く取り外すとメイン基板とサブ基板に分離できますので、それぞれメンテナンスしていきます。

コネクターを外すときに専用工具があると便利です。

いつも使っているメンテナンス道具の紹介をしておきます。最近無水エタノールが以前は500mLだったのが、400mLになっており、こっそり値上げされていました。

サブ基板

まずは小さいサブ基板から着手します。こちらはすべて表面実装で電解液の漏れがひどい場合には基板が断線している場合があるので要注意です。

 耐圧容量備考
C1,C23,C25,C53,C54,C5516V10μF表面実装タイプ
C6,C5716V100μF表面実装タイプ
サブ基板(8個)

コンデンサーを剥がす際に基板のランドも一緒に剥がさないようにゆっくり作業していきます。

新しいコンデンサーは作業しやすいラジアルリード型に変更しています。

メイン基板

続いてメイン基板のコンデンサーに着手していきます。かなり数が多いので休憩しながら取り組みます。

こちらはなぜかすべてラジアルリード型が取り付けられています。

 耐圧容量備考
C13750V1μF
C120,C132,C133,C134,C146,C147,C157,C158,C183,C186,C187,C190,C191,C192,C193,C194,C195,C196,C197,C198,C199,C800,C801,C806,C807,C808,C811,C812,C815
16V33μF
C111,C112,C113,C116,C141,C142,C143,C151,C182,C18516V100μF
C125,C12625V1000μF
C12716V3300μF
メイン基板(43個)

外しながら、念の為、コンデンサーの容量と電圧についてメモしていきます。

交換完了しました。

フロントパネルのボタンの効きが悪くなっている場合がありますが、そういう場合はマルツオンラインで購入したこちらのスイッチに交換します。

今は、1つ30円するのでコストもまあまあかかりますが、取り扱いがあるのは助かりますね。

タクトスイッチ 6mm角 2ピン 180gf 黒【TVDP17-050B-D】

ボタン電池がついている音源とついていない音源があります。ついている場合は、確実に寿命を迎えてますので、液漏れもリスクもあるので必ず交換するか取り外しておきましょう。

ちなみに電池が切れているとSC-88Proの電源投入時に「Low Battery」というメッセージがでます。

もしRCAジャックの端子が汚れている場合は、接点復活剤などを塗布して磨きます。

SC-88Proには、セルフメンテナンス機能(テストモード)がついています。

テストモードに入るには、電源OFFの状態で

  • パネルのKEY SHIFT ◀ ・ ▶ボタンを押下したまま電源ONにする
  • オープニングが表示されている間にVOLUMEつまみを押しこむ(PREVIEW)

成功すれば、一瞬「TEST MODE」と表示されて、液晶画面のテストに入り全ドットが点灯した状態になります。

KEY SHIFT◀ を押しながら、MIDI CH◀ ・ ▶を押す事で、次(前)のテストに移ります。

もはやバーチャル音源全盛ですが、重厚感のあるハードウェア音源も良いものです。

SC-55と比べるとかなり重厚な演奏ができるようになっているようです。

KONAMIから発売された「MIDI Power Pro」というゲームミュージックCDは「SC-88」「SC-88Pro」で再生されたものもあるようです。

MIDI Power(Wikipedia)

ぜひ、興味が湧いたら一度手にとって見てください。

まとめ

  • SC-55の後継機種だが、SC-55と音色のセットが完全に互換ではないのでゲームでの再現度はやや落ちる
  • 液晶表示がおかしかったり音が爆音な個体はコンデンサーが液漏れしているので修理が大変
  • そうなる前の個体を入手してコンデンサー交換するのがベスト

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