
POLYPHONとは
POLYPHON(ポリフォン)とはネオコンピュータシステム社より1993年3月に発売された、いわゆるサードパーティ製のX68000用拡張ボードです。
定価は搭載されているメモリ容量やコプロセッサの有り無しによって異なりますが、62,000円~95,000円でした。
主なスペックは下記のとおりですが、他に類を見ないとても多機能なボードでした。

どうして悲運なの?
かなり期待の集まる中での満を持しての発売だったのですが....、MIDI機能が純正と互換性がないことや、多くの機能が同時に利用することできないなどの理由から対応するソフトも少なく、そのうちにX68000自体のブームの方が終了してしまいました。
そんなこんなで、せっかくの多機能も脚光を浴びることもなく、知る人ぞ知る1オプションボードして終わりました。
いつものヤフーオークション
それでも当時入手したく、そして手が出なかったこのボードがずっと気になっており、これまでにも有名なX68000用拡張ボードはほぼコレクションできたのですが、この「POLYPHON」だけは高価なこともあり入手が難航しました。
見つけるなり入札するも、ヤフオクで競り負けることも何度もありました(より高い金額を入札すれば確実に勝てるのですが、50,000円以下での落札を目標としていました)


2025年早々にもトライするも敗れ続け、

55k円まで入札するも、60k円超えと大敗を期しておりました。

あきらめが悪いですね
そんなこんなで、その熱も冷めやらぬうち、またも出品されているのを発見。

とうとう落札に成功しました!粘りました。
しかもフルメモリ実装でにコプロも搭載済、さらにスロットカバー付きでしたので大変お得でした。

余談ですが、このときはなぜかレアな拡張ボードがまとめて出品されていました。
もしかするとまとめてコレクションを手放したタイミングだったのかもしれませんね。
メモリと数値演算コプロセッサの用意
入手したときにメモリやコプロがついていない場合には、それぞれ別途用意する必要があります。
どちらも古いもののため入手が難しいかもしれません。
メモリ:30pinタイプのSIMM x 2枚
数値演算コプロセッサ:PGA(剣山)タイプで16MHz以上対応のモトローラ68881、もしくは68882。X68000XVIのメインボードに挿すものと基本同じものが使えそうです。


SIMMってまた懐かしい
ボード上のDIPスイッチの設定
X68000本体に装着する前に、主に増設メモリに関して初期設定が必要な場合があります。
X68000本体側のメモリは最低2MB以上に増設されている必要があり、さらにX68000にすでに増設されているメモリ容量に応じてスイッチを正しく変更する必要があります。

SW | 設定項目 | ON | OFF |
1 | メモリアドレス $200000-$3FFFFF | 有効 | 無効 |
2 | メモリアドレス $400000-$5FFFFF | 有効 | 無効 |
3 | メモリアドレス $600000-$7FFFFF | 有効 | 無効 |
4 | メモリアドレス $800000-$9FFFFF | 有効 | 無効 |
5 | メモリアドレス $A00000-$BFFFFF | 有効 | 無効 |
6 | 数値演算プロセッサ I/Oアドレス | $E9E080-$E9E09F | $E9E000-$E9E01F |
7 | POLYPHON ID | $EFF880-$EFF89F | $EFF800-$EFF89F |
8 | 未使用 |
例えば、内蔵2MBの状態に対して8MB分を増設する場合のDIPスイッチは「11110」となります。
コンデンサー交換
ボードも30年以上前のものなので、念のため電解液が漏れてなくても電解コンデンサーを交換しておきました。
耐圧 | 容量 | 耐温 | 種別 | |
C1,C2,C3,C4 | 25V | 100μF | 85度 | SME |
C36,C37,C38,C39 | 50V | 4.7μF | 85度 | SME |

いつもの電子工作ツールのご紹介です。
特に汚れはありませんでしたが端子部分も接点クリーナーをかけておくと安心です。
X68000本体への装着
一般的な拡張ボードと同様に挿し込みでいきますが、かなり背面が出っ張ります。

そのため、POLYPHON用のボードカバーもあるようです。


同人で作成してもらえるのはありがたい
付属ディスク
当時、ツールはネットで配布もあったようですが、FDによる配布もあったようです。

中には、POLYPHONのMIDIに対応した音楽ドライバーなどが入っています。
動作テスト(PCM8編)
それではまず一番お手軽なPCM8による演奏負荷軽減のテストから。XVIの10MHzモードでテストしています。
必要なソフトウェアはこちらか入手できます。
PCM8SB.X - POLYPHON 関連 - 特定のハードウェア用のソフトウェア - ソフトウェアライブラリ - X68000 LIBRARY
PCM8.X常駐
かなり重い音楽データでCPUPOWERは6%まで減少。演奏がもたついています。

PCM8SB.X常駐
CPUPOWERが66%までの減少に抑えられており、かなり効果が現れています。

まとめ
知っていたとはいえやはりかなりクセのあるボードのため今となっては活用できるシーンも限定的ですが、X68030でも利用できるとのことですので、実機でPCM8.Xをバリバリ活用したいような場合には良いかもしれません。
PhantomX搭載機でもどれくらい効果があるのか、またいつかテストしてみたいですね。
それにしても当時何枚くらい売れたのでしょうか?比較的、ヤフオクでもよく見かけるのでそこそこ売れたのかもしれません。
外部リンク
ご注文はPOLYPHONですか? - Togetter [トゥギャッター]
駿河屋 -<中古>ネオコンピュータシステム X68000用 サブMPUボード POLYPHON(その他PC)
