修理とメンテ

【最強】X68000用MPUアクセラレーター「PhantomX+RaspberryPi」をX68000SUPERに載せて爆速にする

アクセラレーターというのはパソコンの処理速度をアップさせるパーツです。

どんどんパソコンの性能が向上していた90年代、パソコンは高価だったので買い替えずに、代わりにパソコンの心臓部(CPU)のみをパワーアップさせる方法が主流でした。(インテル286を486にしたり、486をPentiumにしたり、AMDのK5をK6にしたりなど)

X68000もパワーアップの需要は高く、クロックアップと呼ばれるMPUの動作周波数を高める方法で性能アップをするケースが多かったのですが、別のアプローチとしてサードパーティからいくつかのMPUアクセラレーターが発売されました。

対応機種MPUアクセラレーター定価
X68000 用H.A.R.P(ジャスト)29,800円
X68000 ACE/EXPERT/SUPER 用Xellent30s(東京システムリサーチ)59,800円
X68000 PRO 用Xellent30pro(東京システムリサーチ)54,800円
X68000 XVI 用Xellent30(東京システムリサーチ)59,800円
X68030 用040turbo(計測技研)98,000円
X68030 用060turbo(満開製作所)158,000円
他にもV30/V70ボードやPOLYPHONE、同人のJupiter-X、040Excelなどがあります

いずれも入手性はよくなく、現代ではX68000を手軽にパワーアップさせる方法がありませんでした。

PhantomXとは、2022年頃に発表されたRaspberryPiを利用したX68000用のMPUアクセラレーターです。

公式サイトの商品説明によると...

PhantomXは簡潔にいえばX68000用のMPUアクセラレータです。他のアクセラレータと同様に本体のMC68000を取り外して代わりに取り付けて使用します。 サポートする機種はACE/EXPERT/PRO/SUPER/XVI(Compact除く)です(初代はMPUの実装位置の制約があるため対象外)。

PhantomXの実体はRaspberryPiとMC680x0のソフトウェアエミュレータです。専用のソフトウェアを導入したRaspberryPiをベースボードとリロケータを使用して取り付けます。RaspberryPiはZero/Zero WH/Zero2/2B/3A+/3B/3B+/4Bをサポートしています。

パワー不足のX68000の実機には救世主のようなパーツが現れました。

同じくRaspberryPiを利用したレトロPC用の同人ハードウェアRaSCSI」や「FDX68」で著名なGIMONSさんが開発を進められていて、BOOTHでの一般頒布が開始され、現在はBASEで頒布されています。

GIMONS DEVELOPER WORKS(BASE)

頒布に関する情報はX(twitter)で発信されています。

最初のころは頒布開始から数秒で売り切れという過酷すぎる世界であきらめていたのですが、3か月くらい粘りに粘って入手できました。

頒布価格は当時は25,000円でしたが、部品代の高騰や円安などから何度か見直しがされています。

それでもハンダ付けなどせずに、MPUの交換だけでお手軽にX68000がパワーアップできるので、他のアクセラレーターがオークションでは10万円くらいすることやそもそも手に入らないことを考えると大変リーズナブルな価格設定と言えます。

PhamtomXが取り付け可能なX68000は、ACE~XVIなのですが、16MHz機のXVIにつけたからといってその分パワーアップすることもないそうなので、新たに10MHz機を調達して取り付けることにしました。

たまたま、ヤフオクでクロックアップ耐性が低いという噂のジャンク品のX68000SUPERを発見しました。

見るからに傷だらけでカバーも欠けているのですが、その分お安く基板もキレイそうだったので入手することにしました

えくしび
えくしび

最近はジャンク品の入手も大変になってきた

PhamtomXを取り付ける前に、いつものX68000メンテナンスメニューを実行します。

  • コンデンサー交換(メイン基板、FDD基板、底基板、電源ユニット、RGBユニット)
  • 底基板のボタン電池取り外し
  • FDDのグリスアップ

FDDのスリットのところが少し粘ついていて怪しい感じなところもキレイにします。

底面基板のコンデンサーもすべて交換して電池部分も交換します。

FDDの基板のコンデンサーもすべて交換します。

電源ユニットの部品もここまではずして、交換できるパーツはすべて交換しました

電源(SH4)はメンテナンスに加えて、コネクタ部分を改造してメガネケーブル式に変更しました。

X68000 SH2/3/4/5 電源ACメガネ化キット - くにちこの小物 - BOOTH

サービスコンセントは使えなくなりますが代わりに電源ケーブルの取り回しがしやすくなるので便利です。

あわせて電源のファンも静音タイプに交換しましたのでとても静かです。

10MHzでの通常動作ができることを確認した上で、いよいよPhantomXを取り付けていきます。

PhantomXの基板と、X68000とつなぐ(位置をずらす)リロケーターです。

ソケットにささっているMPU(68000)を慎重にはずします。

向きに気をつけつつ、リロケーターとベースボードとラズパイをとりつけます。

用意したraspberryPiは、まずは発熱の少ないraspberryPi zeroにしてみました。

起動用のmicroSDを作成して電源を投入します。

うまくいくとこのようなRaspberryPiからこのような画面が表示されます。

表示されない場合は下記のような原因があるため確認してきましょう。

1.キチンと奥までphantomxが挿さっていなかった

⇒X68000本体を一度横に寝かして、PROに装着するように上から下へボードを押し込むことでうまく挿さりました。。

2.68000のソケットが接触不良を起こしていた

⇒何度か抜き差ししていたタイミングで、ソケットの穴の中の金具が広がってしまって接触不良となっていました。

これによって元のMPU(68000)に戻しても起動しなくなりどこか壊したかと焦りましたが、金具を元の状態に調整することで解決しました。

3.68の電源の容量/安定性不足

電源ユニットがメンテされていなかったり状態が内容が良くなかったり、他に電源を必要としているものがつながっており、raspberryPiを駆動するパワーが足りなくて起動しないということもあるようです。

特に何も設定せずにデフォルトのままでも高速化されますので、ゲームを起動させてテストをしてみました。

えくしび
えくしび

挿しているRaspberryPiによって性能が変わる

10MHz機ではやや重く、16MHz機では速すぎるという噂の沙羅曼蛇ですRaspberryPi zeroサクサク動きます

次に、MPUの変更やraspberryPiの温度などを調べるのに便利な、ch30_omake.sysを下記から入手してSRAMにインストールします。

phantomXを積んでいるとSRAMをなんと標準の16KBから64KBに拡張できます。

SRAMへのインストール時に実行したコマンドはこちら。

chxinst.x ch30full_omake.sys -e-r-i
chxinst.x ch30full_omake.sys -e-i

SDカードにセットアップしたファイルの中のphantomx.iniのSRMの行頭の#を外すと有効になり反映されます。

また、IPLROMの行で指定するIPLROMデータをXVIのIPL ROMに差し替えることで、CLRキーでSRAM初期化ができるようになりました。

さらには1GBのVDISK(仮想ドライブ)と呼ばれるファイルを用意することで、そこから起動することもできます。

raspberryPiに挿さっているmicroSDカードを書き換えるためにサイドカバーを都度、開け閉めするのは面倒くさい場合は、こちら「ましろんの何でも屋 - BOOTH」のmicroSD延長スロットつき天板がおすすめです。

発熱が一番少ないraspberryPi zeroでもCPU温度が50度前半まであがってしまうので、サイドカバーの内側にアルミ板を貼り、そこと放熱ゴムでつなぐ方法で冷却してみることにしました。

初めて使いましたがぷにぷにした粘土のようなゴムです。

アルミ版はこちらのダイソーで手に入るらしく4軒回りましたが見つけられず……、しばらく在庫補充されなさそうな様子。

今回はメルカリでたまたま合いそうなものを購入しました。

厚みが1mmもあるのが気になりますが、分厚いほど放熱効果も高いらしいので良さそうです。

サイドカバーにアルミ板を一般的な両面テープで貼り付けました。

30度くらいの室内で43度止まりだったので、夏場にファンレス構成でも使えそうな感じです。

その後、パフォーマンス重視でRaspberry Pi4にファンレスの冷却カバーをつけて交換してみましたがいい感じでした。

Geekworm Raspberry pi 4(ラズベリーパイ4モデルB) CNC超薄型アルミ合金パッシブ冷却金属ケース

(2024年2月には2990円で販売されていたのですが現在は売り切れ中)

24MHz化したXVIを触ってるような感じでVDISKでのブートも速く大変快適です。

フォロワーさんから頂いた金ピカphantomXステッカーも貼ってみました。

えくしび
えくしび

楽しみ方は∞!

まとめ

  • ハンダ付けなど工作不要で取り付けられるのは嬉しい
  • X68030ではなくX68000用のアクセラレーターなのでゲームなどの互換性も高い
  • それなのに040turboや060turboにも設定を変えれば体験できる
  • 入手したい場合はGIMONSさんのX(twitter)を要チェック!

オススメ記事

1

この記事のポイント 現在新品で入手できる液晶モニターはX68000の実機では映らない そう思っていたらまさかのAmazonから映るモニターが爆誕 水平同期周波数が15KHz、24KHz、31KHzに対 ...

2

この記事のポイント 2024年7月発売のAmazonベーシックモニターとは? レトロPCを接続してどこまで映るのか? 総合的にこの液晶モニターは買いなのか? 2024/7/2、アマゾンブランドからスタ ...

3

この記事の内容 X68000を持っていない方向けの記事 X68000のゲームを遊ぶ方法を4つご紹介 コストや遊びたいゲームによってどれを選ぶのが良いか分かる 『パソコン』に限らず『ファミコン』や『専門 ...

4

この記事のポイント 100円ショップダイソーのスピーカーは充分使える レトロPC用に改造するなら専用工具があるとベター 通販だと送料が770円もかかるのでオススメではない 時間のあるときはダイソーのデ ...

-修理とメンテ
-