レトロPCで利用するフロッピーディスクの種類
昔々「フロッピーディスク」と呼ばれる記録媒体が、CD-ROMが普及する前にゲームソフトやアプリケーションを保存するために普及しました。
有名なのは大量のフロッピーディスクで販売されたWindows95でしょうか。
フロッピーディスクにはいくつか種類があり、X68000やPC9801などのレトロPCで主に利用するのは「5インチサイズの2HD」か「3.5インチサイズの2HD」です。
見た目のサイズは違うのですがどちらも保存できる容量は1.2MBで同じです。(フォーマットの方法によっては1.44MBになります)
先に5インチが普及し、徐々に3.5インチに移行していきました。
小型のX68000機用 拡張FDD(フロッピーディスクドライブ)
レトロPCのX68000シリーズにおいて小型の「X68000 Compact」と「X68030 Comact」のみ内蔵FDDが異なります。
ダウンサイジングという呼び方もなんだか懐かしいですね。
X68000ではゲームやアプリケーションが基本的に5インチフロッピーディスクで供給されているため、小型のX68000ではそのままでは利用できません。
そこでSHARPやサードパーティから5インチフロッピーディスクドライブを増設できる拡張FDDが発売されました。
SHARP純正 CZ-6FD5
こちらは、SHARP純正のオプション製品で定価99,800円です。
時々オークションで見かけますが、年々高騰しており、最近だと10万円弱くらいで取引されているようです。もはや定価です。
X68000本体につなぐための専用の接続ケーブルが必要なため、付属していない出品物は要注意です。
満開製作所 MK-FD1
こちらは満開製作所(サードパーティ)のオリジナル商品で定価39,800円です。
純正品とは部品は異なりますが性能は同じようです(オートイジェクトもついてます)
ちなみにこちらは接続ケーブルが直付けのようです。
当時の広告にあったパステルカラーのバージョンを買った人を見たことがなく、一度拝んでみたいです。
ヤフオクでMK-FD1を調達
X68030 Compactで5インチフロッピーディスクを読みたい場合に備えて、外付けFDDを探した見たところ発見しました。
もはや定価に近いお値段ですが、BEEPでも35,000円くらいだったので相場というところでしょうか。
しかし落札後に商品説明をよく読むと「通電しません」とのことでしたので修理してみることにしました。
筐体のメンテナンス
到着後、念のため通電してみましたが、やはり無反応でした。
フロントパネルは木目調ですがサイドパネルやトップパネルは金属板のままなので木目シートを貼ったようなのですが、いったん剥がして純正状態に戻します。
背面には電源スイッチと、ドライブ番号を「0番&1番」と「2番&3番」のどちらに割り当てるかを指定するスイッチが付いてます。
底面のゴム足が溶けてドロドロになっていたので、激落ちくんとウェットティッシュで拭き取ります。
分解と電源ユニットの取り出し
サイドについているネジをはずすとフタが開くというちょっと変わった構造です。
反対側のネジは、写真左に映っている電源ユニットを固定しているネジのようです。
(側面のネジが飛び出してるなどからコスト削減を感じます)
電源ユニットからコンデンサーの取り外し
LEDとFDD用のコネクタをはずして電源ユニットを筐体から取り出します。
X68000の電源と比べるとかなり小型です。今回は電解コンデンサ部品のみを交換してみます。
コンデンサーの固定用に接着剤が付いてるところがあったので、コンデンサーと一緒にハンダを外してから接着剤を剥がしてつけなおしました。
コンデンサーを外したらX68000の電源ユニット基板の洗浄用に買った100均のケースに、無水エタノールを入れて漬け込み洗浄しました。
電解コンデンサーの交換
数は9個と少ないですがマイナーな容量の物が多く、どうしても同じ容量で見つからなかったものは、少し大きい容量のもので代替しました。
C03が10V⇒25Vとなってる関係でΦ(太さ)がちょっと太くなりましたがギリギリ入りました。
耐圧 | 容量 | 今回使用した代替品 | |
C50 | 200V | 270μF | 250V 330μF(スナップイン)@若松通商 |
C4 | 50V | 10μF | |
C02 | 10V | 820μF | 25V 1000μF |
C01 | 10V | 820μF | 25V 1000μF |
C04 | 50V | 10μF | |
C21 | 25V | 560μF | 25V 680μF |
C22 | 25V | 560μF | 25V 680μF |
C23 | 25V | 270μF | 25V 330μF |
C03 | 10V | 560μF | 25V 680μF |
はんだクラックがあるかもしれないので、全体的に再ハンダを施します。
動作テスト
この時点でまずは単体で電源が入るかテストしてみました。
緑のランプが付いたので電源の修理は成功したようです。
次にX68000に接続して動作テストをしてみます。
コンパクト機の背面にあるEXTERNAL FDDに拡張FDDを接続します。
ちなみにX68000は5インチ機にも拡張FDD端子がありますが、3.5インチ機と異なります。
例えばこちらのX68000XVIの「EXPANSION FDD」端子には拡張FDDはつながりません。
しかし、X68030の5インチモデルは3.5インチ機と同じ端子のため接続できます。
拡張FDDの背面の番号割当の設定を「2番&3番」にしてつないでみます。
いい感じに一発で認識しました。(EドライブとFドライブが内蔵FDDで、GドライブとHドライブが拡張FDD)
最初、フロッピーディスクを入れても吐き出されてしまったのですが、上下反対に拡張FDDを設置していたため、フロッピーディスクの表裏が逆になっていました。
ディスクコピーもいい感じです。(外付)の表示が新しいです。
故障していたのが電源部分だけだったので修理できましたが、ドライブ本体やケーブルが損傷していた場合には修理は難しいためラッキーでした。
(おまけ)私が購入したのが2021年12月でしたが、1年後の2023年1月で2倍近い価格で落札されていました。もはや定価をはるかに超えています。
まとめ
最近はフロッピーディスク自体の入手も難しくなってきていますが、当時の環境そのままに活用するためには外付けFDDは抑えておくと安心でしょう。