エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(8)~動作チェック編~【最終回】

ついに最終回です

長い長い道のりでした。

エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(1)~導入編~
エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(2)~購入ルート編~
エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(3)~選定編その1~
エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(4)~選定編その2~
エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(5)~メンテ編その1~
エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(6)~メンテ編その2~
エミュじゃない!中古のX68000XVIを直してゲームで遊ぼう(7)~メンテ編その3~

今回は最終回として、ゲームをする前に各部がちゃんと動作するかのチェックをしたいと思います。

2021年3月に、あのYsI&YsIIも発売されるみたいですしね!

PC-88版イースI&IIがX68000で蘇る!|BEEP :

各部の動作チェック

1.電源スイッチ、リセットボタン、インタラプトボタン

まずはコンセントにプラグを挿して背面の電源スイッチONします。この時点で、10MHzもしくは16MHzのランプが赤く点きます

つかない場合は重症なので、電源修理や基板修理まで戻ってください。

前面下の青色のスイッチ(XVI以前なら赤色のスイッチ)を押し込んでONにするとランプが緑色になって起動します。

ちなみに動作クロックの切り替えは電源OFF時のみ可能です(10MHz<>16MHz)

起動しない場合、電源周りには問題がないときはメイン基板の取り付けがまずくてショートしていることもありえるので、そのあたりもチェックしてみましょう。

本体の上部にあるリセットボタンとインタラプトボタンも押してみてスイッチが壊れていないかチェックします。

2.S-RAM

X68000には電源がOFFになってもいろいろな設定(内蔵メモリ容量やキーリピート速度など)を記憶させるS-RAMがついています。起動時に変なプログラムが入っていないとも限らないので、念の為こちらをリセットしておきましょう。

XVI以降の機種では「CLRキー」を押しながら起動すると初期化する画面がでてきますので、「Y」を押してリセットします。

XVI以前の機種ではやり方が異なり、バックアップ用電池を外してしばらく放置することでクリアされるようです。

3.FDD

さて、もしかしたらSCSI接続のHDD等が用意できているかもしれませんが、まずはスタンダードにフロッピーディスクドライブ(FDD)から起動してみます。

フロッピーディスクを入れずにしばらくすると、ドライブ0のアクセスランプが緑色でチカチカして、下記のようなエラーメッセージが表示されると思います。

ここで、ゲームやシステム(Human68k)の入ったフロッピーディスクが手元にありましたらそれを入れてみます。正常であれば、アクセスランプが赤色に変わり、ガッガッガッと、フロッピーディスクが読み込まれるはずです。

ここで異音がするなどうまく読み込めない場合は、FDDの分解整備まで戻って部品のチェックや調整を行いましょう。

アクセスランプやEJECTボタンも正しく動作するか確認します。

場合によっては5インチFDクリーナーによるクリーニングも効果的です(中々入手が難しいですが)

ちなみに私のX68030のドライブ0は、読み込みはできるが何故か書き込みができない状態で、頭を抱えています。

ファイルコピーなどをしてみて、ドライブ0、ドライブ1共に読み書きのチェックを行いましょう。

フロッピーディスクドライブは中々完全回復させるのが難しいパーツのため、どうしても直らない場合は、FDX68というRaspberry Piを利用したハードウェアエミュレーションも検討してみましょう。(私もBOOTHで手に入れました)

FDX68 :

4.メモリ

あまり聞いたことはないですが、メモリも故障していないかどうかテストをします。

ちなみにゲームをするだけであれば、スーパーストIIの要メモリ4MB以上とかのゲームを除けば、内蔵の2MBメモリだけでも問題ないのですが、せっかくなので今回は12MBのフル実装してみます。(内蔵2MB+XsimmVIによる6MB+IODATAメモリボードによる+4MB=12MB)

XsimmVI

XVIは8MBまでメモリを追加で内蔵できます。(X68030は12MBまで内蔵可能)

増設方法としてはSHARP純正の親亀(CZ-6BE2A)+子亀(CZ-6BE2B)x2か、こちらの東京システムリサーチの内蔵6MBメモリモジュールを用います。

それにしてもこの純正メモリで6MB増設はそれだけで定価で16万円相当したというところが驚きですね。

X68000 製品一覧 :

設定自体は簡単で8MBのSIMMモジュールを刺していれば、すべてのディップスイッチがONでよさそうです。

現役当時、純正の親亀子亀がさっぱり手に入らず、このXsimmVIには大変お世話になりました(クロックアップした24MHzでもつかえていた記憶)

これから調達するのであれば、比較的最近発売されたこちら↓の内蔵6MBメモリが高機能(クロックアップ改造機能付き?)で入手性も高そうです(わたしも欲しい)

えくしみえむ 資料館 :X68000 XVI専用内蔵6Mバイトメモリ [ XM-6BE6AP ]

PIO-6834-2/4M-1 (4MB)

IOデータ製の4MB増設メモリボードです。こちらは拡張スロットに挿して使います。当時、大学時代に夏休みにバイトして初めて購入した追加メモリで当時4万円くらいしました。見た目が似ている2MB版などもあるので調達する際には要注意です。

これを追加することでメモリが2MB⇒6MBになり、dcache2でディスクキャッシュにあてたり、RAMDISKにしたりして、とても快適になったことを今でも思い出します。

今回はヤフオクで11k円くらいで調達。
マニュアルがなくて最初うまく認識できなかったのですが、ネット上にディップスイッチについて書かれたページを見つけて無事に増設できました。

x68000:pio-6834-2_4m_-_memory_expansion_board [NFG Games + GameSX] :

今回は、内蔵2MB+XsimmVI(6MB)にさらに追加するため、8MBからの増設ということは3番のディップスイッチをONですね。

メモリの動作チェック

chkram.xというツールを使ってテストしてみました。ここにある、memtest68kでもよさそうですね。

メモリチェックも問題なく、無事に12MBにフル実装が完了しました。ちなみにこのsi.rというツールはシステム情報が一覧できるとても便利なツールです。

(現在は、公式に配布されてるところは残念ながらなさそう)

5.拡張スロット

すでに4.のチェックで拡張メモリボードによる拡張スロットの動作チェックは済んでいるのですが、せっかくなのでMIDIボードも挿して演奏テストしてみます。

先日ゲットできたCM-64の動作テストも兼ねて、問題なさそうです。

拡張スロットが故障していたという話はあまり聞かないですね。

6.ジョイスティックポート、キーボードポート、マウスポート

ゲームをする上で欠かせないのがジョイスティック(ジョイパッド)

ここが故障しているケースもあまり聞きませんが、ジョイスティックポートは前面と背面と2箇所あるのでそこにジョイパッドなどをつないで、それぞれが正しく動作するか確認しましょう。ジョイスティックポートが2つついてるパソコンって他にはMSXくらいでしょうか。

キーボードとマウスも同様にチェックしておきましょう。

7.FM音源(YM2151)、ADPCM、内蔵スピーカー、背面AUDIO端子、ヘッドフォン端子

音楽・音声まわりです。下部基板がやられてるとこのあたりの出力がおかしくなります(ADPCMの音がすごく小さくなったり、FM音源が鳴らなくなったりなど)

前面のボリュームスイッチがガリガリいう場合は何度もグリグリ回していると若干回復します。

それぞれの端子の動作も確認しましょう。

8.RS-232C

背面にあるポートです。

ここはモデムを繋いでパソコン通信に利用することが多く、ゲームで使うとしたらRS-MIDIとして利用するか、クロスケーブルでつないでの対戦する用ということで「どれだけの人がやったことがあるのか」怪しい話ですが、できればチェックしておけると良いでしょう。

9.その他のポート類、浮動小数点演算プロセッサ

ほぼゲームで利用することはないので割愛します。イメージユニットや拡張FDD、3Dスコープ、TVコントロールなど、ぜひ興味がある方はチャレンジしてみてください。

また、68881(68882)なる、浮動小数点演算用のプロセッサ(先述のsi.rでfloating point unitの部分)を追加することもできますが、こちらもゲームに影響はありませんので、お好みで追加ください。

お疲れさまでした!

ドラえもんの秘密道具に「苦労味噌」というのがあり、食べると何をするのにも苦労するというのがあるのですが、X68000の実機でゲームを遊ぶのはこの苦労味噌以外の何物でもないかもしれません(もちろん他のレトロPCでも同様)

でも、その苦難を乗り越えてたどり着いたときのゲームの感動は格別ではないでしょうか。

それでは今回修理したXVIで、私が一番X68000用ゲームで好きなグラディウスIIを起動した動画でお別れしましょう。

長らくお付き合いいただきありがとうございました。よきX68000実機ライフを!

Good Luck!