令和の時代にWindowsPCからレトロPCへデータを持っていく方法
これまではSCSI接続のMO経由が主流
いくらレトロPCを愛しているアナタでも、普段遣いのパソコンはどうしてもWindowsやMacだと思います。
マシン間でデータを移動といえば、今ならネットワーク経由が当たり前。
100歩譲ってもUSBメモリとかではないでしょうか。
しかし、レトロPCではどちらも難しいという厳しい現実・・・。
それでは、「インターネット経由で入手したファイルやデータをレトロPCに持っていくのにどうするのか?」
これまでは、
・USB接続のMOドライブ⇒MOメディアへ書き込み⇒SCSI接続のMOドライブ
が、一般的でした。(※SCSIが使えるくらいの時代のレトロPCの想定)
(MOドライブのイメージ)
そこに、近年はRaspberry Piの登場による、RaSCSIという選択肢が加わり、microSDカード経由でデータを持っていくことが可能になりました。
(私は普段、この方法を使っていました)
RaSCSI : これはこれで大変便利で、さらにネットワーク機能もあるのでそれを利用する手もあります。
ただ、microSDカードで持っていくたびにイメージを書き込み、PCから抜いてあの小さいmircroSDスロット(時々、ズレて挿しそこねる)する必要があり。
この手間がやや面倒に感じていました(この後、microSDからSDカードスロットに引き出す延長ケーブルを購入し、やや改善しました)
直接、CFカードに無線でデータを持っていく方法を発見
なんとか別の良い方法が無いか探していたところ、”Wi-Fi対応のSDカードに無線LAN経由でデータを書き込む方法”を見つけました。
(昔、Eye-Fiとかコンパクトデジタルカメラで使ってたのを思い出しました)
X68030 - あさヤンTOWN :参考にしたサイト
これは、良いかも!早速トライや!(ここから、予期せぬ苦難が待ち構えていることも知らずに)
完成イメージ
パーツの調達
それでは必要になる部品を集めていきます。確実に手に入らないものばかりなので要注意です。
FlashAir(SDカード)
まずは、メインとなるFlashAirカードです。
すでに生産が終了しているようで、ネットオークションで中古品を探すしか無いようです(よって、故障したらそれまでなので、できれば予備も買っておきたいところ)
新品で売られていた時は16GBなら4,000円以下もあったようなのですが、今だとこれくらいが相場のようです。
ちなみに、16GB、32GB、64GBとあるようですが、X68000で使う分には2GBパーティションx複数台=16GBあれば十分と判断しました。
SD⇒CF変換アダプター
SDカードを直接SCSIに変換するカードもあるようなのですが、動作実績が多い、CFカードをSCSIとして使える変換番長PRO(後述)を使いたいので、CF(コンパクトフラッシュ)型に変換が必要です(いつか、SDカード⇒SCSIカードも試してみたいですね)
いろいろな種類があり相性とかもありそうなのですが、こちらの怪しげな(?)のがメルカリで安かったので、これで試してみることに。
Wifi SDとか書いてあるし、きっと大丈夫だろう。
変換番長PRO
CFカードをSCSIに変換する機器としては、これまではMacbook(ノート)タイプ用に売られている「CF PowerMonster」が有名です。
New CF PowerMonster II : 製造終了していて、今はSDカードを変換するものが売られているようです。(コピー品もあるようなので要注意のようです。)
そこで、今、入手できるものでCF PowerMonsterに代用できそうなのがこちらの変換番長PRO。
変換番長PRO V.3.2.2.6 | クラシックPC研究会 :
今回はこれを調達しました(ヤフオクにて送料込み13,800円)
2.5インチ⇒3.5インチドライブマウンター
変換番長PROは、2.5インチのHDD/SSDサイズのため、X68000に内蔵するには3.5インチサイズに変換する必要があります。
メルカリでそれっぽいのをゲット。こういうのどのご自宅にも1つはありますよね(ありません)
FlashAirを設定する
自宅のネットワークに接続できるように設定をしていきます。
簡単に行けるかな、と思ったのですが少しハマりました。
FlashAirのマニュアルなどがないので、ネットで設定するためのソフトウェアを調べてみます。
なぜかうまくダウンロードできません・・・。そこで色々調べると海外のサイトで同名のファイルが入手できそう。
FlashAir Configuration Software | KIOXIA :
インストールする言語で日本語が選べたので大丈夫かな(もちろん無保証)
その前に、Windowsに.NET Framework3.5がインストールされている必要があるようです。
起動してみます。
初期化されていない場合は、最初に初期化します。
ネットワーク設定>インターネット同時接続>WiFiのSSIDとパスワードを入力
FlashAirドライブ設定>ON
あたりを適当に設定。
後から気づいたのですが、設定ファイルを直接手で書き換えるなら、この手順は飛ばせるのかもしれません。
なぜか、16GBのはずが、2GBとなってしまっていたので、こちらのツールで再フォーマットしました。
SDメモリーカードフォーマッター | SD Association
設定ファイル(CONFIG)の書き換え
隠しフォルダの中に設定ファイルがあるようで、「隠しファイル」を表示するチェックをONにします。
SD_WLANフォルダの中の、CONFIGというファイルを下記のように編集しました。
[Vendor] CIPATH=/DCIM/100__TSB/FA000001.JPG APPMODE=5 APPSSID=(自宅のWi-FiのSSID) APPNETWORKKEY=(自宅のWi-FiのPW) VERSION=F15DBW3BW4.00.02 CID=025...(略) PRODUCT=FlashAir VENDOR=TOSHIBA APPNAME=X68000 LOCK=1 DNSMODE=1 APPAUTOTIME=0 WEBDAV=2 TIMEZONE=36 DHCP_Enabled=NO IP_Address=192.168.10.**(FlashAirに設定したいIPアドレスを書く) Subnet_Mask=255.255.255.0 Default_Gateway=192.168.10.1 Preferred_DNS_Server=192.168.10.1 Proxy_Server_Enabled=NO
変換番長PROを設定する
設定すると行っても、バスパワーモードで使うかどうか、と、抵抗をつけるかつけないか、くらいで。
今回は抵抗は取り付けて、バスパワーモードは使わない、でうまくいきました。
WebDAVを設定する
FlashAir内のファイルにWindowsからアクセスするツールをセットアップします。
TeamFile(チームファイル) - ダウンロード : ここにあるツールを利用することにしました。
TeamFile|TeraCLOUD : 設定方法はこちらと
FlashAir Developers - website :こちらを参考にしました。
サーバの追加を下記のように行うと接続できるようになります(ログイン情報はなしでいけました)
接続テスト
それでは、実際にFlashAirをCFサイズに変換したものを、さらに変換番長PROに挿してX68000で起動してみます(ややこしい)
(実際には、問題を切り分けやすくするために、いきなりX68000実機ではなく、まずはFlashAir単体で、WindowsPCに接続してテストしました)
SCSI-HDのイメージファイルの設置
FlashAirのルートディレクトリにファイル名[scsi*].hdsという感じでSCSIドライブのイメージファイルを書き込みます。
ex.hdd0_[scsi0].hds
というような名前のX68000でブートできるイメージファイルを、X68000エミュレータのXM6typeGで作成して置いておきます。
TeamFileを起動
TeamFile>Agentというアプリを開くと、私の場合PCの中に「TeamFile」というのが出てきます。
このX68000というのは、CONFIGで設定した
APPNAME=X68000
のようです。
開こうとすると、最初、このメッセージが出ましたが、「はい」を選択します。
無事に、X68000にSCSI接続されたFlashAirの中に、WindowsPCからアクセスできました。
このウィンドウへファイルをドラッグ・アンド・ドロップすることで、上書きコピーができますし、逆にWindowsへファイルを持ってくることもできます。
ファイルコピーのテスト
X68000内のファイルの実体ではなく、「あくまで、HDDのイメージが見えている状態」のため、まず、WindowsPCにあるHDDイメージ内にX68000へ持っていきたいファイルをeditdisk.exeなどで書き込み、そのイメージファイルをコピーで持っていくという運用になりそうです。
自宅の無線LAN経由だと、1GBのファイルを転送するのに40分くらいかかったので、システムパーティション(ドライブ)を丸ごと書き換えるのではなく、10MBなど、小さい容量の別SCSI-ID(ここでは、scsi_id=1)HDDイメージを用意して、そこに書き込み、そのイメージを丸ごと上書きする、というのが良いのでしょうか(もっとうまい方法がありそうな)
また、ブラウザでも閲覧することができましたが、ドラッグ&ドロップとかでファイルの移動ができるわけではなさそう?でした。
やはりダイレクトにX68000のファイルの中身が見えていて、WindowsPCから、そのままファイルを持っていけるというところまではいけませんでしたが、物理的なメディアの抜き差しやNereidなどのネットワーク機器を利用せずファイルを持っていくことはできました。
そして、これはわかっていたことですが、投資対効果を考えると、RaSCSI+RaspberryPi3Bで無線LANに接続してリモートドライブにするほうが、良いかもしれませんね(それは言ってはいけないお約束)
RaSCSI :
ただ、それぞれパーツの入手がしづらい点もあるので、お好きな方をどうぞ!
後日談(不具合との闘い)
実は今回、X68000実機で利用できるようになるまで、「相当ハマりました」
最初、動いていたように見えたのですが、動作が安定しないため、最初に変換番長PROのファームウェアのアップデートをトライしました。
マニュアルの通り進めたのですが、ファームウェアアップデート完了!のLED点灯にならず・・・。
他に考えられ問題点として
・変換番長PRO上の抵抗の有/無
・変換番長PROに電源供給するパターンとバスパワーモードで起動させるパターン
・変換番長PROに供給する電源が不安定(X68kからの供給だから、もしや、と)
・CF変換カードとの相性(これが悪くてファームウェア更新を失敗して文鎮化したと思い込み、3種類購入)
・CFカード自体の故障(16GBや8GBではなく、4GBでないとだめかと思い、6枚ほど購入)
・CFカードのフォーマットの問題(Windows10でFAT32、アロケーションユニットサイズを4096バイト指定)
・CFフォーマットするWindows10の問題(別のWindows10マシンでフォーマットしてみる)
ここまでやっても、いっこうに状況が改善せず。
変換番長PROにCFカードを挿しっぱなしで通電するとLED点灯せず、挿さずに起動してからカードを挿すと遅い点滅から速い点滅のママ、という状態。
もう完全にお手上げでした。
不具合の結論
そうだ、製造元にメールしてみようと送ってみるも、最初、返事がなく・・・、
変換番長PRO トラブルシューティング | クラシックPC研究会 :
「ジャンクPC道は険しいぜ。これも経験のうち。・・・でも使えないのは悲しい」と、あきらめかけていたところ、いつものヤフオクパトロールで、
また変換番長PROの出品を発見!
「もう1度買ってみて動作比較しみてるか、いや待てよまずは動作保証について聞いてみよう」
と出品者に質問したところ、なんと製造元につないでくれるとのこと(!)
原因は変換番長の基板に
早速、メールで今節丁寧にサポートいただき、提案いただいた方法でも解決しなかったので、発送して直接基板をみてもらったところ、半田不良の箇所が見つかり、直していただきました。感謝!
最初に買ったCF変換アダプタが、動作しないリストに載ってたので、こいつのせいか!と思ったら、違って、結局、最初の赤いCF変換アダプタでも動いたという(笑)
厳密には変換カードによって消費電力が異なるなど違いはあるようですが、そこが根本的原因でありませんでした。ちゃんちゃん。
もうなんか、一生分のCFとCF変換カードを買った気分です(笑)
おしまい。
参考サイト
CONFIG - website : FlashAirのCONFIGファイルの詳細なパラメータ説明