RolandのSC-33とはどんなMIDI音源なのか
当時のDTM向けMIDI音源として一世を風靡した「Roland SC-55」ですが、それの発売の翌年に「SC-33」という音源が発売されました。
SC-55と完全に互換性のある「SC-155」のことは知ってましたが、SC-33は知りませんでした。
写真を見る限りSC-55と筐体の形が大きく異なりますが一体どんなGS音源なのでしょうか?
SC-55 | SC-33 | |
パート数 | 16 | 16 |
最大同時発音数 | 24 | 28 |
音色数 | 317 | 226+8ドラムセット+1SFXセット |
重量 | 1.4kg | 650g |
定価 | 69,000円 | 49,800円 |
早速、ヤフオクで入手して調査してみました。
いつものヤフーオークションでゲット
最近のGS音源は状態にもよりますが、5,000円~10,000円ぐらいで取引されているケースが多いようです。
欲しくて5,000円以下なら即買いで
SC-33も需要がそこまで無いのか、1万円以上に高騰はしていませんが、55mkIIなどと比べる少ないのかたまにしか見かけません。
動作未確認ジャンクという点が不安ですが、どうせメンテナンスするということでこちらを落札してみます。
ACアダプターが専用品
到着したのでまずは通電確認をします。
いつもCM-64やSC-55用に使っているACアダプターを挿して使おうとしたら、プラグが挿さりません。
あれれ?なんで?
よく見ると端子が他のMIDI音源と異なるようです。
手持ちのRolandの音源はすべて共通のACアダプターー(センターマイナス、DC9V500mA程度)で使えていたのでこれにはハマりました。
このSC-33だけは、BOSS製のACアダプターが必要のようです。
どうして急にBOSS製なのか?というと、どうやらBOSS社が海外向けにDS-330という名称で販売していたようです。
改めてACアダプターを購入しようとすると特殊な製品なためか3,000円以上するので、今後入手される方はACアダプターを確認されると良いと思います。
届いたACアダプターで通電テストをしてみます。
MIDI信号には反応しているようですが、Phoneジャックからも、LINEからもまったく音が出てません。
ボリュームを最大にすると、「ジーー」と、ノイズが聞こえてくるだけです。
完全に故障してます。
修理(メンテナンス)
コンデンサーの交換
それではいつもと同じでコンデンサー交換からはじめていきます。
背面のネジを6本はずすとカバーが外れます。
カバーはプラスチック製なので、軽いのは良いのですが、他のSC-55系が金属製なのと比べるとやや高級感が薄れますね。
パッド基板とサブ基板が白いコネクタでつながっているので慎重にはずします。
最初に液晶パネルのついている一番最後にはずれる基板です。
耐圧 | 容量 | 備考 | |
C1 | 16V | 10μF |
表面実装コンデンサのついてるサブボードです。ここが断線しやすそう(実際断線してました)
耐圧 | 容量 | 備考 | |
C1 | 6V | 47μF | 16V品で代用 |
C13 | 6V | 47μF | 16V品で代用 |
C14 | 50V | 1μF | |
C19 | 6V | 100μF | 16V品で代用 |
写真中央にあるサブ基板とメイン基板がつながってるフラットケーブルがうまくはずれてくれなかったので、やむを得ずつなげたまま作業しました。
表面実装コンデンサをはずすときにランドがはがれてしまったので、コンデンサーの足を延長してつけてみました。
一番たくさんコンデンサーがついているメインの基板です。ここはすべてラジアルリードタイプの電解コンデンサです。
耐圧 | 容量 | 備考 | |
C5 | 25V | 1000μF | 一番大きくてスナップイン |
C11 | 6.3V | 220μF | 16V品で代用 |
C6 | 16V | 220μF | |
C9 | 6.3V | 100μF | 16V品で代用 |
C10,C25,C26 | 16V | 100μF | |
C3,C32,C33 | 16V | 47μF | |
C8,C16,C17,C18,C19,C20,C36,C37,C39,C40,C41,C43 | 16V | 10μF |
ボタン電池の交換
使用する場合には新品の電池(CR2032)と交換します。
あまり使用しない場合にはボタン電池をはずしたままにします。
液晶画面には「LOW BATTERY」と表示されますが、使用上は特に問題ありません。
動作テスト
コンデンサーを交換しただけでは症状は改善せず、基板上の見ただけでは分からない部分が断線しているところを熟練の方に直していただきました。
今後、故障したSC-33の修理の参考用に、断線を修理いただいた画像を掲載しておきます。
いつか自力で直せるようになりたい
また、デモプレイの方法を後から知りました。
- [DRUM]ボタンとPARTボタンの[O]サウンドボタンと同時に押しながら電源を入れる
- デモモードに入ったら[↓/↑]YESボタンで演奏開始
- NOボタンで演奏終了
SC-55向けのデータをいくつか鳴らしてみた感じは、GS音源(SC-55)のデータの再現度は80%くらいなので、互換性はあまり期待できない感じでしょうか。
他にもSC-55と比べると液晶のバックライトがなかったりなど劣る面もあるため、これから購入するのであればコレクション目的でしょう。
当時のパンフレットを見たら確かにちょっと欲しくなるかも・・・。
SC-33対応 X68000用ゲーム
たまたま、このサイトで集めたX68000ゲーム投票で1位になった「悪魔城ドラキュラ」のマニュアルにSC-33についての記述を発見しました。
もしかすると他にもSC-33対応をうたったX68000用ゲームがあるのかもしれませんね。
悪魔城ドラキュラ・クォース DELUXE PACK - ZUIKI STORE
見つけたらぜひ教えて!
まとめ
定価で5万円切っていたので入門機としては良かったかも