MIDI音源

【謎のGS音源】SC-55の後継なのに、メジャー路線になれなかったRoland SC-33修理

この記事のポイント

  • SC-55の後継機種「SC-33」について
  • SC-33のメンテナンスと修理について
  • SC-33に対応しているX68000のゲームについて

当時のDTM向けMIDI音源として一世を風靡した「Roland SC-55」ですが、それの発売の翌年に「SC-33」という音源が発売されました。

ローランド・SCシリーズ - Wikipedia

SC-55系音源の発売年表

1991年 SC-55 発売
1992年 SC-33、SC-155 発売
1993年 SC-55mkII、SC-50(海外のみ)、SC-5ST 発売

1994年 SC-88発売

SC-55と完全に互換性のある「SC-155」のことは知ってましたが、SC-33は知りませんでした。

写真を見る限りSC-55と筐体の形が大きく異なりますが一体どんなGS音源なのでしょうか?

SC-55SC-33
パート数1616
最大同時発音数2428
音色数317226+8ドラムセット+1SFXセット
重量1.4kg650g
定価69,000円49,800円

早速、ヤフオクで入手して調査してみました。

最近のGS音源は状態にもよりますが、5,000円~10,000円ぐらいで取引されているケースが多いようです。

えくしび
えくしび

欲しくて5,000円以下なら即買いで

SC-33も需要がそこまで無いのか、1万円以上に高騰はしていませんが、55mkIIなどと比べる少ないのかたまにしか見かけません。

動作未確認ジャンクという点が不安ですが、どうせメンテナンスするということでこちらを落札してみます。

到着したのでまずは通電確認をします。

いつもCM-64やSC-55用に使っているACアダプターを挿して使おうとしたら、プラグが挿さりません。

えくしび
えくしび

あれれ?なんで?

よく見ると端子が他のMIDI音源と異なるようです。

手持ちのRolandの音源はすべて共通のACアダプターー(センターマイナス、DC9V500mA程度)で使えていたのでこれにはハマりました。

このSC-33だけは、BOSS製のACアダプターが必要のようです。

どうして急にBOSS製なのか?というと、どうやらBOSS社が海外向けにDS-330という名称で販売していたようです。

改めてACアダプターを購入しようとすると特殊な製品なためか3,000円以上するので、今後入手される方はACアダプターを確認されると良いと思います。

届いたACアダプターで通電テストをしてみます。

MIDI信号には反応しているようですが、Phoneジャックからも、LINEからもまったく音が出てません。

ボリュームを最大にすると、「ジーー」と、ノイズが聞こえてくるだけです。

完全に故障してます。

コンデンサーの交換

それではいつもと同じでコンデンサー交換からはじめていきます。

背面のネジを6本はずすとカバーが外れます。

カバーはプラスチック製なので、軽いのは良いのですが、他のSC-55系が金属製なのと比べるとやや高級感が薄れますね。

パッド基板とサブ基板が白いコネクタでつながっているので慎重にはずします。

最初に液晶パネルのついている一番最後にはずれる基板です。

 耐圧容量備考
C116V10μF 
パッド類のついてる基板(1個)

表面実装コンデンサのついてるサブボードです。ここが断線しやすそう(実際断線してました)

 耐圧容量備考
C16V47μF16V品で代用
C136V47μF16V品で代用
C1450V1μF 
C196V100μF16V品で代用
サブ基板(4個)

写真中央にあるサブ基板とメイン基板がつながってるフラットケーブルがうまくはずれてくれなかったので、やむを得ずつなげたまま作業しました。

表面実装コンデンサをはずすときにランドがはがれてしまったので、コンデンサーの足を延長してつけてみました。

一番たくさんコンデンサーがついているメインの基板です。ここはすべてラジアルリードタイプの電解コンデンサです。

 耐圧容量備考
C525V1000μF一番大きくてスナップイン
C116.3V220μF16V品で代用
C616V220μF 
C96.3V100μF16V品で代用
C10,C25,C2616V100μF 
C3,C32,C3316V47μF 
C8,C16,C17,C18,C19,C20,C36,C37,C39,C40,C41,C4316V10μF 
メイン基板(22個)

ボタン電池の交換

使用する場合には新品の電池(CR2032)と交換します。

あまり使用しない場合にはボタン電池をはずしたままにします。

液晶画面には「LOW BATTERY」と表示されますが、使用上は特に問題ありません。

コンデンサーを交換しただけでは症状は改善せず、基板上の見ただけでは分からない部分が断線しているところを熟練の方に直していただきました。

今後、故障したSC-33の修理の参考用に、断線を修理いただいた画像を掲載しておきます。

えくしび
えくしび

いつか自力で直せるようになりたい

また、デモプレイの方法を後から知りました。

  • [DRUM]ボタンとPARTボタンの[O]サウンドボタンと同時に押しながら電源を入れる
  • デモモードに入ったら[↓/↑]YESボタンで演奏開始
  • NOボタンで演奏終了

SC-55向けのデータをいくつか鳴らしてみた感じは、GS音源(SC-55)のデータの再現度は80%くらいなので、互換性はあまり期待できない感じでしょうか。

他にもSC-55と比べると液晶のバックライトがなかったりなど劣る面もあるため、これから購入するのであればコレクション目的でしょう。

当時のパンフレットを見たら確かにちょっと欲しくなるかも・・・。

たまたま、このサイトで集めたX68000ゲーム投票で1位になった「悪魔城ドラキュラ」のマニュアルにSC-33についての記述を発見しました。

もしかすると他にもSC-33対応をうたったX68000用ゲームがあるのかもしれませんね。

悪魔城ドラキュラ・クォース DELUXE PACK - ZUIKI STORE

えくしび
えくしび

見つけたらぜひ教えて!

えくしび
えくしび

定価で5万円切っていたので入門機としては良かったかも

まとめ

  • SC-55の後継機種だが音色のセットがやや異なるため互換性は限られる
  • DTMというよりは実際に演奏での利用に向いている
  • 形状が独特なMIDI音源なのでコレクションとして持っておくのは◯
  • ACアダプターが他のRoland音源と異なるのは要注意

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